エロ、アダルトが溢れた現代に欠けているものはなにか。大人力コラムニストの石原壮一郎氏は「それは昭和のお色気だ」と喝破する。昭和のお色気歌謡の代表作がいまリバイバル人気だという。
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今の日本に足りないものは何か。今の日本が必要としているものは何か。それは「お色気」です。世の中にもっとたくさんの「お色気」があふれたら、日本は、とくにオジサン世代は、活力や明日への希望を取り戻してたちまち元気になることでしょう。
たしかに、街には露出度の高い服を着た女性がたくさん歩いているし、出版物にもネットにも、過激なコンテンツがあふれています。しかし、それらは「お色気」ではありません。どこか攻撃的なセックスアピールや、単に劣情を刺激するエロではなく、「お色気」は男性のスケベ心を大らかに包み込みつつやさしくくすぐってくれます。
「お色気」をきちんと評価する機運の高まりも、徐々に感じられるようになりました。公開中の映画「海街diary」では、撮影を始めるにあたって是枝裕和監督は、4姉妹の次女を演じる長澤まさみに「お色気担当でお願いします」と話していたとか。長澤はその期待に見事に応え、「お色気」のパワーと重要性を示しつつ映画は大ヒットしています。
そして「お色気」といえば、忘れてはならないのが、昭和の高度経済成長期に日本の男性たちを大いに元気づけた「お色気歌謡」の数々。奥村チヨ「恋の奴隷」、伊東ゆかり「小指の思い出」、夏木マリ「絹の靴下」、青江美奈「伊勢佐木町ブルース」、山本リンダ「どうにもとまらない」などなど、こうしてタイトルを見るだけで胸がときめきます。
今もカラオケの定番で、いわば「お色気歌謡」の代表格とも言えるのが、畑中葉子が1980年にリリースした「後から前から」。ただ過激なだけではない完成度の高い歌詞とメロディーは若いアーティストたちにも人気で、ステージで歌われることも多いとか。
7月20日の「海の日」には東京・お台場のイベントスペースで、畑中葉子がプロデュースした「後から前からTシャツ祭り」が開催されました。往年のおじさんファンから若い女性まで、たくさんの善男善女が集結。おそろいの「後から前からTシャツ」を着て、変わらぬ美しさと歌声で「後から前から」などを熱唱する畑中に、熱い声援を送りました。
畑中は2010年に芸能活動を再開。それより前の2007年に(本人も知らないうちに)発売されていたベスト盤CD「GOLDEN☆BEST」(「後から前から」や「もっと動いて」など「お色気歌謡」の名曲をたっぷり収録)は、今もロングセラーで売れ続けています。昨年は4枚組CD「後から前からBOX」をリリースし、こちらも大好評でした。
どうやら、時代は「お色気歌謡」を求めています。オジサン世代としては、その魅力を再認識し、一丸となって「お色気歌謡」を応援していくことで、広く「お色気」の素晴らしさを知らしめ、世の中も自分も元気にしてしまいましょう。