夏休みになり、ディズニーの『インサイド・ヘッド』や木村拓哉主演の『HERO』など話題の映画が次々と封切られた。8月には『進撃の巨人』や『ジュラシック・ワールド』など大作公開が続く。これほど人気作が続くと映画ランキング上位に居続けるのは難しい。ところが最新の週末映画ランキング(観客動員数)をみると、公開6週目でもなお『ラブライブ! The School Idol Movie』が7位にいる。なぜ、1か月経っても人を集めているのか。
「ファンであるラブライバーには女の子もずいぶんいるし、『ラブライブ!』は単なるオタク向けコンテンツを超えつつあります。映画館へいつまでも人がやってくるのは、前売券と入場特典の影響が大きいでしょうね。7月18日からの35mmフィルム配布では、少しでもよい場面のコマをもらえる確率を上げたくて僕も3回、観ました」(自分もラブライバーである20代男性)
6月13日に公開されて以降、累計興行収入が14億円を突破、観客動員数も7月5日に100万人を突破している劇場版『ラブライブ!』とは、9人の女子高生が廃校の危機にある母校を救うためにスクールアイドルを結成し奮闘する様子を描くアニメの映画化。2010年からユーザー参加型のアイドルプロジェクトとしてスタートし、2013年のアニメ放映で人気に火がついた。今ではKis-My-Ft2の宮田俊哉やSKE48の松井玲奈などファンを公言する有名人も続出している。
ファンが増加しているコンテンツの映画というだけでなく、前売券の種類が多いことも『ラブライブ!』の特徴だ。劇場で買える前売券が第1弾から第3弾まであり、それぞれ特典が全10、9、3種類。さらにアマゾンやローソンのLoppi、アプリ経由など販売場所によっても特典が異なり、通常前売とあわせ合計で28種類の前売券が存在する。そして週替わりの入場者プレゼントが封切8週目まで予定されている。
前売券の種類が多いアニメ映画というと、2011年12月公開の『映画 けいおん!』が思い出される。アニメ化で人気が出たとはいえ深夜の放送で、原作は4コマ漫画。年末年始に封切られる大作映画に囲まれ地味な興行成績が予想されたが、入場者数は100万人を超え興行収入19億円を突破、この年の松竹配給作品で最大のヒット作となった。この大ヒットは作品の人気だけでなく、30種類を超える前売券と週替わり入場者プレゼントによるリピート率の高さによるという分析がされた。
これ以降、アニメの劇場版といえば多種類の特典をもった前売券と週替わりのプレゼントが定番となった。