プロ野球選手たちの「年俸」をテーマにした大ヒット漫画『グラゼニ』(講談社刊)の原作者・森高夕次氏は、現場取材の経験からプロ野球は「夢を売る世界」であるがゆえに、徹底した格差社会だという。そしてもうひとつ、現役時の年俸だけでは測れないプロ野球の側面について森高氏が語る。
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プロ野球選手には、現役の期間が短いという問題があります。引退後の再就職先として、華やかに見えるのはテレビの解説者かもしれませんが、安定していて人気も高いのは球団スタッフのほうです。
この球団スタッフになるには、密かに「学閥」というものが存在します。引退後に球団広報などのスタッフに残っている選手が、東京六大学野球の出身者が多い傾向も感じられます。それは現役時代の成績に、あまり関係なくも見えます(もちろん、このリーグの人間教育が素晴らしい、とも言えますが……)。
選手上がりではない背広組の球団関係者は、多くが六大学を卒業したエリートです。彼らの考えが現場の人選にも影響を及ぼすため、ユニフォーム組も六大学出身者が重用される側面もあるのかもしれません。ひょっとしたら長い目で見ればプロ野球においても、高卒より大卒のほうが生涯賃金は高いのではないでしょうか?
事実、甲子園に出場してドラフト1位でプロ入りし、1億円プレーヤーになった某有名選手でさえ、「声がかかっていた明治大学に進学していれば、プロ引退後の道が違っていた」と後悔していたそうです。