かつて「村上ファンド」を率いて、「モノ言う株主」として脚光を浴び、その後証券取引法違反(インサイダー取引)で有罪判決を受けて投資の世界から身を退いた村上世彰氏(55)が再び動き出した。
今年6月、旧村上ファンド関係者が運営する投資会社「C&Iホールディングス」の最高経営責任者(CEO)に村上氏の長女・絢氏が27歳の若さで就任した。直後の6月26日、同社は電子部品商社・黒田電気に対し、臨時株主総会の開催と村上氏ら4人を社外取締役として選任することを求めた。C&Iは村上氏個人らと合わせて黒田電気株の約16%を保有している。他にもゴルフ場運営会社・アコーディアゴルフや自動車部品メーカー・ヨロズなど複数の企業への投資を進めている。
絢氏はブルームバーグのインタビュー(7月14日付)で黒田電気を〈割安な銘柄。内部留保が多く、それを活用していない。コーポレートガバナンス(企業統治)がしっかり効いていない〉と評した。「モノ言う株主」のDNAも、父親から譲り受けていることが窺える。
今後の市場動向に敏感な投資家たちの注目を集めるC&Iホールディングスの社長になった絢氏とは、どんな人物なのか。
慶大法学部を卒業後、外資系証券会社に2年半勤務し、村上氏の側近が運営する別の投資会社に入社した。彼女の素顔を慶大の同級生がこう証言する。
「お父さん似のクリッとした大きな目が印象的な美人。法学部で屈指の難関ゼミに所属していた。面倒見のよい姉御肌で後輩から慕われていました。その半面、気が強くて思ったことをすぐ口に出すタイプで、ゼミでは舌鋒鋭く討論をリードしていたそうです。
年上の金融マンと結婚して、すでに1児の母と聞いています。お父さんに反発した時期もあったみたいですが、学生時代から“父を尊敬している”“家族仲が凄く良い”と話していました」