少ない服でおしゃれするフランス的ワードローブが再び人気を集めている。不要な服を手放してクローゼットをすっきりさせたはいいが、キープするためには洋服の買い方をどう改めたらいいのだろうか。25万部突破の『服を買うなら、捨てなさい』(宝島社)の著者で、キャリア30年超のスタイリスト地曳いく子さんに、買っていい服とダメな服など、ファッション誌から離れたおしゃれの仕方について聞いた。
――服を整理して少なくした後、どんなふうに服を買ったら失敗しませんか?
地曳:顔、姿形はみんな違うから、自分に似合う得意分野の服だけを買いましょう。努力は不得意のカバーでなく、得意なポイントに絞る。たとえば、太く幅のあるお腹は隠して、細い手と足首は出して強調するとか。短所をどうにか良く見せようとするから、逆に目立ってしまうんです。長所がわからなくなったら人に聞くといいですよ。トップスはわりとサイズの調節や色でどうにかなりますが、難しいのがボトム。30過ぎたらボトム選びに時間とお金をかけることですね。
――「大人になったら優先すべきは服より靴」ともおっしゃっていますね。
地曳:靴を見ると、だいたいその人の好みや生活スタイルがわかります。だから、自分のタイプが分からなかったら「靴に聞け」。バレエシューズなどの甘い靴が好きなのか、とがった辛口な靴が好きなのか、洋服にも表れないその人の「隠れキャラ」が靴に出ます。だから靴からコーディネートを考えたらいいの。1シーズンで履ける靴は2、3足ですし、服を格上げしてくれる靴にはお金をかけていいんですよ。バッグよりも身に着けている時間は長いですから、履きやすい靴ではなく、履き心地のいい靴を選びましょう。
――具体的に、買い物で失敗しないコツとは?
地曳:まず、余計なものは買わない。節約という意味ではなく、同じ1万円でもファストファッションのトップスを3枚買うより、毎日のように履ける高級なタイツを2枚買う方が気分を上げてくれて、素晴らしい履き心地も与えてくれますよね。バリエーションを増やすために買っていた服のお金は、本当に気に入った服にあてましょう。たとえば、理想的なワンピースが5万円で高いからと、中途半端な1万円の服をあれこれ買ったら結局5万円ですよ。洋服は人間関係と置き換えるとよくわかります。友達が多いと思われたくてFacebookで100人と友達になっても、本当に信頼できる人はいない、とかね。シンプルな方が気力もお金もセーブできますよ。
次に、「買い足し」より「買い替え」。持っていないタイプや色の服を増やしたいと思ってしまうのは「バリエーションの呪い」です。30才を過ぎたら自分の定番と呼ぶべき服がわかってくるもの。新しい方へ手を広げず、すでに持っている定番を買い替える。その方が服の数を一定に保て、今らしく見えますよ。3、4年前の服を着るとバランスがおかしくなります。体形も変わりますから、シャツやパンツなどベーシックなものほど2~3年を目安にアップデートしましょう。