今年のサマージャンボ宝くじ(7月31日まで)は史上最高額となる1等・前後賞合わせて7億円。同時発売されている「サマージャンボミニ」の1等も7000万円にアップ(昨年は6000万円)したことで例年以上の賑わいを見せている。
日本一有名な宝くじ売り場『西銀座チャンスセンター』(東京都中央区)では、7月8日の発売初日に早朝から350人が列をなした。 そんな熱心なファンの間で、「よく当たる」と評判の売り場がある。そこには長年にわたって高額当せんを出し続けている超ベテラン販売員がいる。
『浅草橋東口駅前売場』(東京都台東区)。3つある窓口の中で最も長い行列ができるのが、イメージカラーの黄色に統一された“秀じい”こと森秀夫さん(84)が座る中央のブースだ。“秀じい”がシンボルの同売り場では、この20年で計18人の億万長者を生み出しており、その総額は32億6000万円。
森さんは宝くじを真っ赤な「宝袋」に入れて、店内に飾られている打ち出の小槌に丁寧に擦り合わせてから客に手渡す。チリンと響く鈴の音は、いかにもご利益がありそうだ。
「遠い昔に宝くじを当てたお客さんが“ありがとう”とお礼に打ち出の小槌をくれたのが始まり。“当たった人の幸せを他のお客さんにも分けてあげよう”と小槌で宝くじを擦るようになったんです。そしたら、次々と当たった人たちが小槌を買ってきてくれるようになってね」
アドバイスを求めると、こんな言葉が返ってきた。
「とにかく買うこと! 買わなきゃ当たらんからね!」
当たり前のことだが、“秀じい”が口にすると、もっともらしく聞こえるから不思議だ。
※週刊ポスト2015年8月7日号