栃木県南西部に位置する、児童数わずか70人あまりの小さな市立小学校で発生した「ママ友」の連続自殺事件。4月中旬、この小学校に通う子供を持つA子さんが自殺した。そして、A子さんの親友ともいえる「ママ友」B美さんは、A子さんの葬儀で友人として弔辞を述べたわずか数日後に自死した。
連続自殺の背景には、ママ友によるいじめがあったと7月3日に読売新聞の栃木県南版が小さく報じた。ともに子供がいじめられたA子さん、B美さんが改善を訴えると他の母親から「母親失格」などとなじられ、LINEで陰口を叩かれたという。その後、女性セブンで詳細が報じられるも、遺族名で「取材と報道の自粛」を求めるファクスが報道各社に届いたのだ。
このファクスは地元住民によると、学校側が主導して作成し、遺族に署名してもらったものだという。小学校から送ると送信先がわかって都合が悪いため、教職員らが手分けして複数のコンビニから送ったとの証言もある。
小学校の校舎の白い壁がゆらゆらと揺らめくほどの強い日差しだった7月中旬、女性セブン記者は小学校の校長室を訪れ、応接セット越しに校長に向かい合った。
「2人の母親の自死の直接の原因が子供のいじめだったとは思っていません。読売新聞が報じたように、(A子さんとB美さんの)子供が物を隠されるいじめを受けていた事実もありません」(校長、以下「」内同)
──B美さんは明るいかたで、PTAの活動にも積極的に参加されていた。
「それは違う。気持ちが非常に落ち込むうつの状態で、人前に出るのが苦手なかたでした。同じような健康上の問題を抱えていたA子さんには悩みを打ち明け、支え合っていたので、“A子さん(の自殺)を止められなかった”とB美さんは自分を責めていた。学校の職員も家を訪問していろんな悩みを聞いたり、サポートしてきたのですが…」
──校長にはママ友同士のトラブルが保護者から報告されていたか。
「保護者や卒業生の親御さんなどたくさんの人から情報提供を受けました。保護者が揃ったランチの時に、亡くなられたお母さんだけ入れなかったことがあったとか、保護者のグループのLINEの中で“さっきの言い方はおかしい”などのやり取りがあったとか…。グループの中に、言い方がきつくて、周囲が黙ってしまうような保護者がいると、多くのお母さんが私におっしゃるのですが、学校外で起きていることは学校側としては確認のしようがないと伝えています」
──B美さんは亡くなる前日、授業参観やPTA総会に来ていた。
「泣きながら帰られていきました」
──それが自殺の直接の引き金になったのではないか。
「違うと思います、それは」
──なぜ泣かれていた?
「それは断じて、お話しすることはできません」
──自殺の原因を調査するつもりはないのか。
「しません。ご遺族がそのように希望されているので」
命を絶つ前日に、学校行事で流していた涙。それは、B美さんの「最後の叫び」だったのではないだろうか。女性セブンが市教育委員会にも取材すると、意外な事実を明らかにした。