いずれそうなると誰もが思っていたことだが、ここまで突然だと驚きを禁じ得ない。ついに「平成の大横綱」が日本相撲協会のトップに立つ日が来たという情報が、角界を駆け巡っている。
名古屋場所7日目の7月18日、この日から北の湖理事長が休場すると相撲協会広報は発表した。理由は、腎臓に水が溜まる「両側水腎症」の手術のため。
北の湖理事長は62歳とまだ若いが、最近は体調不良が目立ち、5月に行なわれた夏場所中の理事会も体調不良で欠席。昨年の初場所でも初日から9日目までを休場した。名古屋場所では結局協会ナンバー2といわれる事業部長、八角親方(元横綱・北勝海)が優勝した白鵬に賜杯を渡した。北の湖理事長の休場がこう何度も続くと「実はかなり悪いのではないか」と話す幹部もいて、協会内は騒然としている。
協会には各部屋を結ぶ「一門」という組織系統が存在する。本場所や稽古、巡業から冠婚葬祭といった行事に至るまで、一切が「一門」で取り仕切られてきた。
理事の選出も例外ではない。各一門で理事候補を推薦し、票数を調整することで、長く「無投票選出」が続いてきた。
この旧風に立ちあがったのが貴乃花親方だった。二所ノ関一門からの立候補がならなかった貴乃花は2010年の理事選で一門を離脱。独立候補として一門の枠を超える票を獲得して当選した。いわゆる「貴の乱」だ。
理事となった貴乃花親方は協会改革に尽力。満員御礼が続く現在の相撲人気復活は、様々なファンサービスの充実を実現してきた貴乃花・総合企画部長の功だと考える向きは多い。
「協会も貴乃花親方の存在を認めざるを得なくなり、造反組の“貴乃花グループ”としてきたものを、昨年5月には正式な“貴乃花一門”として公認しました。若手親方グループの支持を集め、古巣である二所ノ関一門の分裂を生んだ。時津風や伊勢ヶ濱一門内にも貴乃花を応援する親方が増えている」(後援会関係者)