スポーツ

板東英二 甲子園最多奪三振記録を生んだ「後ろ向き」な理由

甲子園最多奪三振記録を生んだ板東英二氏

 1958年の夏の甲子園準々決勝、徳島商(徳島)vs魚津(富山)は、板東英二・村椿輝雄の両エースが一歩も譲らず、延長18回を終えても0-0。大会史上初の引き分けとなった。翌日の再試合で板東は完投勝利。その後決勝まで進み、大会通算83奪三振の金字塔を打ち立てる。不滅の三振記録を生んだものは何か。それは意外にも、少し“後ろ向き”な理由だった。板東氏が振り返る。

 * * *
 あれは監督に怒られるのがイヤで投げていたらそうなった、というだけです。高校時代、僕は「1試合15三振以上」取らないと罰として一日中走らされた。0点で抑えるのは当然。練習試合だろうがなんだろうが、15三振未満なら走らされるから、ひたすら三振を取りに行っていた。その結果が83個なんです。

 それに、代わりに投げる人間が1人もいなかった。徳島商の練習はキツすぎて、部員が次々辞めていき、あの年は実は8人しか野球部員が残っていなかったんです。でも9人いないと大会に出られないからと、野球経験のないマネージャー(中学時代は卓球部)に急造三塁手をやらせた。リリーフピッチャーはおろか、正三塁手すらいない状況だったんですから。

 練習は台風が来ようが、流感(インフルエンザ)で学校が休みになろうが、年中無休。毎日21時までは必ずやっていました。休みの日は朝9時から。主将の僕はエースで4番だったので、午前中はバッティングとランニングをして、午後からはひたすら投げ込む。1日1000球近くは投げたでしょうか。

 夜になってボールが見えなくなったら数百回素振りをする。その後は各人が交代で提灯を持って各塁の横に立ってベースランニング開始です。これが延々2時間。終わると先輩の家まで走って、判子をもらって帰ってくるという練習もやらされた。1時間半はかかりましたね。すべて終わったら23時ということも珍しくありませんでした。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン