実写ドラマとなって帰ってきた昭和の名作漫画『ど根性ガエル』(日本テレビ系)。俳優陣が二次元キャラクターをどう演じるか。平面ガエルのピョン吉は実写版でどこまで活き活きと描かれるのか。期待と不安が入り交じる中でスタートを切って約1か月半が経ったが、視聴者にはおおむね好意的に受け入れられているようだ。特に、主人公ひろしを演じている松山ケンイチ(30)への評価が高い。
ドラマ評論家の成馬零一さんも、松山の演技に好印象を抱いている。
「漫画やアニメ原作の実写作品は、観ている人の頭の中にすでにキャラクターのイメージができ上がっています。そのため、実写化で新しい色を付けた時に、原作ファンから嫌われてしまうことが少なくありません。役者さんがこの壁を乗り越えるには、観ている側に演技であることを意識させないくらい、いい演技をする必要があります。その役者さんがうまいか下手かもわからないくらいがちょうどいいのです。今回の松山さんは、そのことに成功しています。最初は私も『松山ケンイチ演じるひろし』と意識して見ていましたが、すっかり松山ケンイチであることを忘れてお調子者の『ひろし』そのものとして見ていますから」
松山が漫画のキャラクターを演じるのは珍しいことではない。これまでも映画版『デスノート』や『デトロイト・メタル・シティ』などの作品で二次元キャラをうまく演じ、高く評価されてきた。特に『デスノート』のL役は、カリスマ的人気を誇るキャラクターということで演技のハードルは高かったが、結果的に原作ファンをうならせるほどの“はまり役”っぷりを見せた。現在放送中のドラマ版『デスノート』(日本テレビ系)は設定を変えていることもあり山崎賢人演じるLの評判が芳しくないが、それによって過去に同じ役を演じた松山を再評価する向きさえある。
松山が難役である二次元キャラをうまく演じられるのはなぜか。