期間限定の得する贈与のひとつが、2013年にスタートした「教育資金一括贈与」だ。税理士法人チェスター代表の福留正明氏が解説する。
「30歳未満の孫やひ孫のための『教育資金』として贈与する場合、1人につき1500万円までは贈与税が非課税になる制度です。贈与した分の資産が圧縮されて、亡くなった際の相続税の課税対象額が少なくなるので、うまく使えば節税メリットは大きい」
この制度は「孫のためにお金を使いたい」と考える高齢者のニーズと合致し、「教育資金贈与信託」を扱う信託銀行などの窓口に新規顧客が殺到した。
当初、この制度は今年12月末までで終わる時限措置だった。しかし、2015年度税制改正によって適用期間が2019年3月末まで延長された。
制度を利用するには、贈与されたお金を信託銀行などの金融機関にある教育資金口座に入金する必要がある。入金した金融機関を通じて税務署に「教育資金非課税申告書」を提出することで初めて非課税の贈与になる。
教育資金口座は受け取る孫やひ孫の名義になっていて、その名義人自身か、未成年のうちは親が代理人となって教育資金を引き出すことになる。その際、教育機関などからの領収書が必要になることもポイントだ。
嬉しいことに手続きは2015年度税制改正により、一部が簡略化された。改正前はすべての領収書を金融機関へ提出することが義務付けられていたが、2016年1月以降は「領収書に記載された金額が1万円以下」であり、かつ、「その年における同じ費目の合計金額が24万円以下のもの」については、支払内訳などを記載した明細書で代用できるようになった。
問題は孫やひ孫が、受け取ったお金を何に使えるかだ。