スポーツ

バックトス代名詞の鎌田実氏「魅せるプレーで日本は遅れてる」

日本で初めて「バックトス」を導入した鎌田実氏

 阪神タイガース時代は吉田義男と鉄壁の二遊間を組み華麗な守備で活躍し、日本で初めて「バックトス」を導入した二塁手・鎌田実氏(76)。鎌田氏が、今のプロ野球界にもの申す。もっとプロ野球は観客を沸かせるべき、というのが鎌田氏の考えだ。

 * * *
 最近ようやく、プロ野球でも華麗な守備に注目が集まるようになりました。でも僕からいわせればまだまだ。かつてそうしたプレーが“封印”されていた時代の影響が、まだ残っているように思います。
 
 僕が入団した1957年当初は、藤村富美男監督の発案で、試合前のシートノックにショーの要素を交えて観客を楽しませていました。「ノックだけでカネがとれる」といわれたものです。
 
 肩の強いサードの三宅秀史さんにはライン際のゴロを打ち、ショートの吉田義男さんにはクイックスローができるようにバントを転がし、僕には二塁ベース上に打ってジャンピングスローをさせる具合です。
 
 僕は「バックトス」が代名詞でした。フロリダキャンプで習得したもので、当時の日本の球界では使われていなかった。それまでは二塁ベースから6メートル以上離れているとフォースアウトしか取れなかったが、バックトスを使うことでゲッツーにできたんです。吉田さんとのコンビで華麗なプレーができていた。相手チームもベンチから見ているし、どこの球場でもシートノックは拍手喝采でした。
 
 でも、その後の監督たちは、こうした動きを“サーカスプレー”だと否定するようになった。球界には軍隊式の生真面目な指導者が多く、日本人らしいマジメなプレーを奨励して、華麗な守備は徐々に封印されていった。
 
 例えば二塁ベース寄りに飛んできたゴロをシングルハンドで捕球して右手に持ち替え、背面からベースに入ったショートにトスをする。練習によってショートと呼吸を合わせた合理的な動きなんですが、日本でこれをやると雑なプレーだといわれた。
 
 また「ヘソ捕り」も封印された。フライをヘソのところで捕球するやり方で、実はそのほうがボールがよく見えて捕りやすい。プロに入ってから僕は、ヘソ捕りの名手・平山英雄さんのプレーを見よう見真似で練習していたんですが“禁止”。そういう風潮によって日本の野球は大きく後れを取ってしまったと思います。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居の“芸能界の父親代わり”とも言われる笑福亭鶴瓶
《笑福亭鶴瓶が語った中居正広の女性トラブル》「相談してくれたら…」直撃に口をつぐむほどの深刻さ『ザ!世界仰天ニュース』降板発表
NEWSポストセブン
韓国籍の女子学生のユ・ジュヒョン容疑者(共同通信)
【法政大学ハンマー殴打事件】「私の頭を2回ほど強めに叩いて降りていった」事件前日に容疑者がバスで見せていた“奇行”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
《アフターピル服用後…お守り代わりにナイフが欲しい》田村瑠奈被告、「手帳にハートマーク」「SMプレイの自主練」で待ち望んでいた“事件当日”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
2件の暴行容疑で逮捕、起訴されていた石野勇太容疑者(32)。新たに性的暴行に関する証拠が見つかり、3度目の逮捕となった
《独自》「いい孫だったんですよ」女児に不同意性交、男児には“しょうゆ飲み罰ゲーム”…3度目逮捕の柔道教室塾長・石野勇太被告の祖母が語った人物像「最近、離婚したばかりで…」
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告
「ゴムつけなかっただけで…」田村瑠奈被告が襲った被害男性の「最後の言葉」視界、自由を奪われて…【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
狩野舞子
《元女子バレー狩野舞子》延期していた結婚発表のタイミング…大谷翔平との“匂わせ騒動”のなか育んだ桐山照史とステルス交際「5年間」
NEWSポストセブン
韓国籍の女子学生のユ・ジュヒョン容疑者(共同通信)と事件が起きた法政大学・多摩キャンパス(時事通信フォト)
【法政大学・韓国籍女子学生ハンマー暴行事件】「日本語が上手くなりたい。もっと話したい」容疑者がボランティアで見せていた留学生活の“苦悩”
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(中央)
〈舌と食道まで…〉「お嬢さんの作品をご覧ください」田村瑠奈被告の父親裁判で明かされた戦慄の“切除現場”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
2025年初場所
初場所の向正面に「溜席の着物美人」登場! デヴィ夫人の右上に座った本人が語る「観客に女性が増えるのは相撲人気の高さの証」
NEWSポストセブン
小室圭さん(左)と眞子さん(右)
小室眞子さんの“後見人”が明かすニューヨークでの生活と就活と挫折「小室さんは『なんでもいいから仕事を紹介してください』と言ってきた」
女性セブン
販売されていない「謎の薬」を購入している「フェイク動画」(instagramより。画像は一部編集部にて加工しています)
「こんな薬、売ってないよ?」韓国人女性が国内薬局「謎の薬」を紹介する“フェイク広告動画”が拡散 スギ薬局は「取り扱ったことない」「厳正に対処する」と警告
NEWSポストセブン
中居正広の女性トラブルで浮き上がる木村拓哉との不仲
【全文公開・後編】中居正広の女性トラブル浮き上がる木村拓哉との不仲ともう一つの顔 スマスマ現場では「中居のイジメに苛立った木村がボイコット」騒ぎも
女性セブン