7月スタートの夏ドラマが佳境を迎えているなか、早くも秋のドラマ戦線の“主役”と目される作品が発表された。TBSが10月期の日曜劇場枠でドラマ化する『下町ロケット』である。同作は作家・池井戸潤氏の直木賞受賞作。現在127万部を突破するベストセラーとなっており、ヒット作を連発する池井戸氏の著作の中でも代表作との呼び声が高い作品だ。
池井戸氏原作の日曜劇場枠ドラマというと、社会現象にもなる大ヒットを記録した『半沢直樹』(2013年)が記憶に新しいが、『下町ロケット』の制作陣にも『半沢直樹』を手がけた福澤克雄ディレクター、伊與田英徳プロデューサーが名を連ねている。
主演は、映画『テルマエ・ロマエ』やドラマ『トリック』シリーズなどで人気の阿部寛が務める。阿部は次のように意気込みを語っている。
「私が演じる佃航平という人物は、町工場の社長として社員のことを考えながらも、自分の夢に向かって突き進んでいく男。自分を貫くということは時として煙たがられてしまうこともありますが、そこで卑屈にならないで、良い物を作っていくという姿勢に役者として共感します。『佃航平』=『阿部寛』と思われるような作品になれば嬉しいです」
自分の夢と、会社経営という現実の壁に挟まれ葛藤を抱える主人公・佃を、幅広い役柄を演じてきた阿部がどのように演じるかが、このドラマの見所のひとつといえそうだ。
また、佃の一人娘でことあるごとに父親に反発する高校生・利菜は、NHK連続テレビ小説『まれ』で一躍、若手女優の代表格へと躍り出た土屋太鳳が演じることが決定。今後、続々と発表されるであろう2人以外のキャストにも注目だ。
原作者の池井戸氏は今回のドラマ化に際し、「阿部寛さんが主人公・佃航平をどう演じられるのか、ドラマ『半沢直樹』と『ルーズヴェルト・ゲーム』でお世話になった福澤克雄監督がどんな世界を展開されるのか、一視聴者として楽しみにしています」とコメント。10月からは朝日新聞朝刊で連載小説『下町ロケット2』も始まり、物語の後半では、ドラマと新聞連載が同時進行するという新たな試みも準備されているという。
直木賞受賞時に「人々の希望を繋ぐ爽快な作品」と評された同作は、ドラマ化でどのように生まれ変わるのか。10月の放映開始が待ち遠しい。