今年は年初から「男気」が流行語大賞当確ではないかと言われている。きっかけは、NYヤンキースが引き止めたにもかかわらず広島東洋カープへ8年ぶりに復帰した黒田博樹だ。口数が少なく実直な黒田が発揮する男気は、みずから大声で主張しないため、注目しないと見逃してしまう「隠れ男気」でもある。しかしいま、多くの人が評価し、憧れる男性像のひとつだといえる。
「他の選手は、ピークを過ぎてからしか日本に戻ってきてくれないのに、黒田選手は約束通り戻ってきてくれたんですよ。余計な言い訳もしないし、男気ってこういうことなんだと思いました。8月11日に通算500試合登板を迎えたときも『記録は引退してから』と浮つかないのもいいですよね。イケメンだったり、喋りがうまい選手に人気が集まりがちだけど、いまのイチオシは黒田選手です!」(20代のカープ女子)
「隠れ男気」をもつ男性たちは、社交的とは言えないが正義感が強く、優しい印象を持たれやすいが目立つことが少ない。少し前のコミュ力やプレゼン力が何より重視された風潮だったら軽んじられたであろう男性像だ。しかし今では黒田のような在り方が称賛され、従来の甘い言葉をささやくイケメンとは一線を画した、武骨で口下手だが男気ある剛田猛男にヒロインの大和凛子が恋する少女漫画『俺物語!!』が人気を集めるほどだ。
「猛男の絵を初めて見たときは、少女漫画でしかも恋愛ものなのにこの見た目はない! と思いましたよ。でもね、わかりにくいから敬遠されやすいけど、猛男はいつも友だち思いだし凛子ちゃんのことすごく大事にしてるし、壁ドンとかないけど、どんどんハマっちゃって。凛子ちゃんが『猛男くん、かっこいい』ていう気持ちが今じゃすっごくよくわかる。でも、猛男みたいに男気ある人、なかなか見つけられないんだよね」(都内の女子大学生)
今年の男気を代表する存在は間違いなく黒田だが、四半世紀にわたり実力と男気を兼ね備えているとネット上でも人気を集めているのが人気ゲーム『メタルギア』シリーズの主人公スネークだ。「スネークする」は、必ずしも自分の利益にならない場面でも、ネットに集うユーザーの利益のために潜入情報を収集する活動を表現する言葉として定着したネットスラングになっている。