正しいサイズの靴を履いている子供はたったの3%。オーストリア連邦省が858人の幼稚園児を対象にした調査で、そんな衝撃的な数字が報告された。
「靴の歴史も古く、靴文化や教育も進んでいるヨーロッパでもこの結果です。靴に対する正しい知識と選び方の教育があまりされていない日本では、それ以上の事態が起きていることも考えられます」
そう話すのは、『知っておきたいヨーロッパ流 子どもの足と靴の知識』(ななみ書房刊)監訳者で、早稲田大学人間総合研究センター研究員の吉村眞由美さんだ。
成長が早く、買い替えの多い子供靴は、日本の場合、実際の足のサイズよりもだいぶ大きいことが多いという。
「親御さんは、どうしても大きめの靴を選びがちです。そうした靴を履いていると、中で常に足が動いてしまう。疲れやすくなるうえに、動くたびに足が前にずれるので、足先への負担がかかります。
すると、指先の関節から指が曲がってしまう趾節間外反母趾になってしまうケースがあります」(吉村さん、以下「」内同)
靴選びには、“たかが靴ぐらい”では済まされないようなリスクが潜んでいるのだ。
「靴は健康と安全を守る道具です。価格の安さで選ぶより、機能性重視で選んでほしいです。その意味でも、経済的にゆとりのある、おじいちゃんおばあちゃん世代が靴に対する正しい知識を知ってお孫さんにプレゼントしてあげましょう」
では本当に正しい靴選びを年代別に分けて紹介しよう。子供が生まれて初めて履く靴をファーストシューズという。この靴を選ぶことが何よりも重要と、吉村さんは言う。
「お孫さんにプレゼントすることが多いファーストシューズは、見た目やファッション性が重視されます。それよりも健康に気をつけたい。足のサイズをしっかりと測って、子供の成長を考えてプラス0.5cmを目安に購入しましょう。それより大きいサイズは子供に負担をかけます。そのうえで、ベルトシューズ(面ファスナーで留める靴)で、平らな足底になっているもの。そして、かかと部分が硬く作られていることも大事です」