通例、我々週刊誌は、1メーカーの1商品だけを特別に取り上げ、称揚することはない。ジャーナリズムとしては特定の企業を利することは避けねばならないし、逆に、いわゆるステマ(ステルス・マーケティング)として、広告料をもらって作成している記事と見られたくないからだ。
しかし今回、その慣例を破って、あえて紹介したい商品がある。本誌編集者がプライベートで購入し、その性能に驚き、別の編集部員に教えた。そんな話を雑談でしているうち、どうやらこれは画期的商品ではないかという結論に至った。これはステマではありません。パン好きの読者に実感をもってお勧めする話です。
近年、海外の人気ベーカリーが続々と日本上陸を果たし、学校給食で毎日のようにパンを食べていたシニア世代の間で“オヤジのパンブーム”が広がっている。
こうして広がるパン食志向の中で異例のベストセラーとなっているトースターがある。「世界一おいしいパンが焼ける」という触れ込みで、7月にバルミューダが発売した「BALMUDA The Toaster」が大人気なのだ。値段は、2万2900円(税抜き)と、トースターとしてはかなり高額にもかかわらず、売り切れる店も出ている。
「一般的なトースターは大手メーカー製品で2000~3000円、メーカーにこだわらなければ1000円以下です。しかし、バルミューダは『美味しさという価値で勝負する』という大手とは違う角度から参入した。大手なら市場価格を大幅に上回る製品を作るのはリスクが高いので、そういった発想は生まれ難い」(家電アドバイザー・鴻池賢三氏)
バルミューダ広報はいう。
「製品が提供する価値が市場に見合うはずと、最終的には社長が決定しました」
では、バルミューダのトースターは他社のトースターと何が違うのか? このトースターでパンを焼く際は給水口に5ccの水を注ぐ。すると庫内にスチームが充満して、パンの表面は水分の膜でコーティングされる。これによってパンの内側に水分を閉じ込めながら、表面をサクッと焼き上げることができる。
コンピューターによる温度制御もポイントで、風味が出る60℃、表面がきつね色になる160℃、そして焦げ目がつく220℃の3つの温度帯に制御されているため、パンの耳だけが焦げてしまう心配もなく、冷凍したパンも通常の焼き時間に1分加えただけで、焼きたて同然になる。また普通の「トースト」モード以外に「チーズトースト」、「フランスパン」、「クロワッサン」と、パンの種類や乗せる具によって最適な焼き方を選べるのも魅力のひとつだ。