新たな才能との出会いは、人を沸き立たせるものだ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
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今クールのドラマを楽しむには、「視聴率が目立たなくても見所を発見する」ことがコツ。コラムではその楽しみ方と魅力をとりあげてきた。さらに今回、ドラマの中から「今後の可能性を強く感じた」3人の男優をピックアップ。役者としての魅力にスポットライトを当ててみたい。
●菅田将暉
『ちゃんぽん食べたか』(NHK)では主役として登場。物語は1960年代。田舎から上京した繊細な学生・佐野雅志(さだまさし役)を、七三分けのマッシュルームカット姿で好演した。
安保闘争で騒然とする世の中、生き方を模索しながら「一流バイオリニスト」という夢を手放していく青春の蹉跌。フォークソングを歌う菅田さんからは、60年代というあの時代の空気感がじんわりと漂ってきた。
本人はまだ22歳。なのに知らない過去の時代の空気感を掴まえて再生していくその力、役者として生半可ではない。
一方、バトンタッチするようにスタートした『民王』(テレビ朝系金曜23:15)では、まったく異質のキャラを演じている最中。息子と父親の人格が入れ替わるという物語設定。外見は息子だが、心はオヤジ、職業は内閣総理大臣。上から目線、偉そうな物言い、マッチョで荒々しい人物になりきって暴れている。
と「幅広い」芸を見せつけた菅田さん。クラシックからパンクまで。七三分けから怒髪まで。繊細な感性から厚顔無恥まで。何でもやりそう。やれそう。やってみてほしい。
●勝地涼
『ど根性ガエル』(テレビ朝日系土曜21時)の警官・五郎役がキレている。
左手を腰に当てて敬礼して「やんす」。ポーズがキマッている。子どもにバカ受けしているのも、頷ける。直感力が鋭い子どもたちは、表面的にやっているのか、それとも血肉化されたギャグなのかを一瞬で嗅ぎ分けてしまう。
そう、勝地さんの「やんす」は迷いがなく全力が込められていて、しかも軽やか。見ていて爽やか。だから人の笑いを誘う。こういうのを、ギャグの「型」と言うのだろう。久々に、おそ松くんの「シェー」に該当する「型」を見た気分。