AKBグループのファンといえば、握手券や総選挙の投票券のためにシングルCDを購入するイメージが強い。総選挙のたび、常識外れな枚数のCDを購入する様子や推しメンが違うファンどうしのピリピリしたやりとりがネット上に出現するため、新たにファンになるには勇気がいるような状態だ。それらの理由からファンの高齢化が指摘されていたが、乃木坂46のファンは争いを好まぬ悟り世代以降の若者たちが中心になっている。
8月31日に明治神宮野球場で行われた乃木坂46の全国ツアー最終公演を訪れた50代の会社員男性は、これまで訪れたAKBグループのどの公演よりも客層が若く元気なことに驚かされたという。
「総選挙やドラフト、劇場公演にも何回か足を運んでいますし、8月30日はSKE48の松井玲奈卒業イベントのためにトヨタスタジアムにも行きました。乃木坂46の公演は今回が初めてです。客席全体から出てくる声も大きいし、跳ねるように反応するし、中年以上が多い他のAKBグループの客席とずいぶん違い、勢いを感じましたね。AKBの公式ライバルという設定でデビューした乃木坂だけど、もう勢いは抜いているんじゃないですか」
乃木坂46は2011年にAKBグループの公式ライバルとして発足し、メンバーはすべてオーディションによってえらばれた。バラエティ番組でも活躍する生駒里奈、女性誌で専属モデルをつとめる白石麻衣や西野七瀬、生田絵梨花らが1期生の中心メンバーだ。常設劇場を持たないためファンが直接、触れ合えるのは握手会やイベント、コンサートだけ。現在は2期生まで在籍しており、AKBグループに比べると総勢40名に満たない小所帯だ。
AKBグループとは別と運営側が主張しても、乃木坂46はやはり類似グループに分類されるはずだ。地名プラス数字のグループ名、制服風の衣装など共通点は多い。従来のアイドルファンには違って見えても、一般的には細かな差異にしか映らない。それでも新規のファンを獲得し、AKBグループでは危惧されている客層の高齢化とは無縁だ。