また、東京都心は中国人のバスだらけだ。とくに銀座の中央通りには、買い物にやって来た団体客のツアーバスが、いつもずらりと並んで停車して、他の車が立ち往生している。このため銀座ではトイレが足りず、飲食店などにトイレを借りに駆け込んでくる中国人が少なくない。福岡にも毎週のように数千人を乗せたクルーズ船が入港している。外国人観光客が利用する施設や交通機関は、すでに何もかもキャパシティをオーバーしているのだ。

 これはもはや民間の個別対応ではどうにもならない。観光庁など関係省庁も実態把握のための調査などに取り組んでいるというが、訪日外国人客3000万人時代の到来に備え、ホテル、大型バスなどの駐車場や公共トイレの増設、路線バスや地下鉄をはじめとする交通機関の拡充など、国を挙げてソフト面(制度や情報)を含めた観光インフラの整備を急がねばならない。

 また、留学生の助けを借りて検索サイト「百度(バイドゥ)」などの中国語ガイドを充実していく必要もある。

 たとえば宿泊に関しては、本連載でも紹介した、空いている個人の部屋や家での宿泊を仲介する「エアビーアンドビー(Airbnb)」などの活用を促すことも一案だが、それでは追いつかない。だから、観光地やその周辺地域にあふれている空き家やあまり使われていないリゾートマンションの有効活用をプロデュースするといった新しい手立てを考えるべきだと思う。

 日本お得意の“泥縄式”でなく、中国人観光客を大量に送り込んでいる春秋旅行社、春秋航空などと組んできちんと対応しなければ、日本のイメージダウンにつながるし、外国人観光客を迎える日本人の側にもフラストレーションが溜まりかねない。

 高齢化に悩む日本は、したたかに外部の力を取り込んででも変わらないと、21世紀に成長していくことはできないのだ。

※週刊ポスト2015年9月18日号

関連記事

トピックス

年の瀬に向けて多忙な日々を過ごされている雅子さま(2024年11月、大分県。撮影/JMPA)
《来年はもっと海外へ》雅子さま、ご活躍の舞台が急拡大の見通し 来年度の国際親善の経費が大幅に増額、訪問先の有力候補はアメリカとブラジル
女性セブン
日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)主演の神木隆之介
『海に眠るダイヤモンド』制作秘話 神木隆之介はYouTubeでホストを研究、杉咲花は長崎弁に奮闘、ネトフリ配信に間に合わないほど超タイトな撮影スケジュール
女性セブン
カニエ(左)とビアンカ・センソリ(右)(Getty Images)
《過激ファッションで物議》カニエ・ウェストと18歳年下妻、「丸出しで愛を誓う」仰天セレモニーを計画 海外メディアが報道
NEWSポストセブン
怒りの告白をしたJカップグラドルのなな茶
《総フォロワー500万人のインフルエンサー》なな茶がイベント“ファンの大量ドタキャン”に怒りの告白「すべて出禁にさせていただく」「“グラビアなんかしてるから”と心無いコメントも」
NEWSポストセブン
「動物環境・福祉協会Eva」の代表理事で俳優の杉本彩(HPより)
「熱中症で殺したり、溺死させたり…」悪質ブリーダーのヤバすぎる実態「チワプー」などの異種配合は「命への冒涜」【杉本彩さんインタビュー前編】
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さまの「斂葬の儀」に参列された愛子さま(東京・文京区。撮影/JMPA)
愛子さま、佳子さま、悠仁さま 三笠宮妃百合子さまの「斂葬の儀」で最後のお別れ 悠仁さまは高校を休んで参列
女性セブン
大塚寧々と田辺誠一
《スマホの暗証番号も一緒》大塚寧々と田辺誠一「スピード再婚」から22年「いい夫婦」の愛だけがあふれた日常
NEWSポストセブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
《沈黙続ける折田楓社長》「朝、PR会社の方から直接連絡がありました」兵庫県HPから“同社記事が削除された理由”
NEWSポストセブン
犬猿の仲といわれていた織田裕二と柳葉敏郎
織田裕二『踊る』スピンオフ『室井慎次』にこっそり出演 「柳葉さんがやるなら…」と前向きに検討、確執は昔の話 本編再始動への期待も高まる
女性セブン
谷川俊太郎さん(右)への思いを語った中島みゆき(左)(事務所の公式HPより、右は共同通信社)
中島みゆきが独占告白「本当に星になっちゃった。でも星は消えないですから」言葉の師と尊敬する谷川俊太郎さんとの別れ、多大な影響を受け大学の卒論テーマにも選択
女性セブン
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
《慶應SFC時代の “一軍女子”素顔》折田楓氏がPR会社を創業するに至った背景「女子アナ友人とプリクラ撮影」「マスコミ志望だった」
NEWSポストセブン
騒動の中心になったイギリス人女性(SNSより)
《次は高校の卒業旅行に突撃》「1年間で600人と寝た」オーストラリア人女性(26)が“強制送還”された後にぶちあげた新計画に騒然
NEWSポストセブン