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ワタミにブランド消滅危機 「総合居酒屋」の業態に限界論も

かつてはデフレ時代の勝ち組だった和民だが……

 かつて「デフレ時代の勝ち組企業」といわれた大手居酒屋のワタミだが、業績不振に歯止めがかからない。2004年に参入した介護事業を売却し、本業回帰で立て直しを急ぐ方針だが、『和民』ブランドがこの先も生き残れる保証はない。

 ワタミの苦境は数字にも表れている。和民をはじめ、『坐・和民』『わたみん家』など主力チェーンの客足が伸びず、既存店売上高は3年連続のマイナス。グループ全体の業績も2期連続の最終赤字に陥ったため、不採算店の閉店を断行。その規模は2015年3月期で100店、2016年3月期も85店を予定するなど、“失速ぶり”は目を覆うばかり。

 ここまでワタミが客離れを招いている要因は何か。2008年に入社間もない社員が自殺して以降、ブラック企業のレッテルを貼られたことがイメージ低下に少なからず影響しているのは事実だろう。

 しかし、「そもそもワタミのビジネスモデル自体が時代に合わなくなった」と指摘するのは、外食ジャーナリストの中村芳平氏である。

「カリスマ創業者の渡辺美樹氏(現・参議院議員)がいつまでも『つぼ八』時代(※ワタミ1号店はつぼ八のフランチャイズ店としてスタート)の成功体験に固執するあまり、居酒屋ニーズの変化についていけなくなったことが大きな敗因です。

 ワタミのビジネスモデルとは、もともと駅前の好立地に100坪以上の“大箱”を構え、焼き鳥から刺し身、揚げ物まで何でも揃える“総合居酒屋”の形態。また、靴を脱がせてのんびり飲んでもらうことで、回転率が上がらなくても客単価を確保できるというスタイルが基本でした。

 しかし近年、そんな殿様商売が通用しなくなっているのは明らかです。2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災を経て、節約志向や家飲み需要が増え、今ではファミレス、牛丼チェーン、回転寿司などで軽く“チョイ飲み”して帰るサラリーマンも多い。居酒屋で何時間も飲み続ける顧客を囲い込むのは容易ではありません」

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