企業を成長させる方程式として、一昔前は「グローバル化」という言葉が常識だった。しかし現在、それだけでは成長は覚束なくなっている。いま世界には「三つのクラウド」という新たなビジネスの武器が生まれた。大前研一氏は「その武器を理解しているかどうかで見える景色は大きく異なる」と指摘する。
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事業環境が変化するスピードが、年々早くなっている。
たとえば、パナソニックは事業をBtoC(企業対個人のビジネス)からBtoB(企業対企業のビジネス)にシフトしたことなどにより2014年度はV字回復と言われたが、2015年4~6月期の営業利益は前年同期比7%減と急減速している。
新興企業はもちろん、大企業でさえ、ある年はコストカットや事業改革の効果が出て黒字になっても翌年にはすぐ赤字になるなど、業績があっという間に大きく変化するようになっている。
その一方では次々に新しい企業が生まれ、1~2年で黒字化してスピード上場するケースも少なくない。
いまや事業環境は「3年で激変する時代」になったのだ。その中で企業が生き残っていくためには「三つのクラウド」の時代が到来したことを認識・理解しなければならないだろう。
三つのクラウドとは「クラウドコンピューティング」「クラウドソーシング」「クラウドファンディング」だ。
もはやハードウェアやソフトウェアは、クラウドの中(ネット上)で提供されているクラウドコンピューティングサービスを利用すれば、自前で持つ必要はなく、スケーラブル(いくらでも規模の拡大が可能)である。巨大なサーバーを自社の中に置く必要などないのだ。
人も、クラウドソーシングで国内外の人材に外注すれば、これまでの数分の一~数十分の一のコストで済む。