今“1日1食スタイル”が流行っている。福山雅治やビートたけし、タモリ、水谷豊ら芸能人、オバマ大統領やビル・ゲイツ、スポーツ界でも小野伸二や辰吉丈一郎、有名企業経営者も実践していることで注目を集めている。
1日1食が支持される理由は、疲れにくい、若返り、メタボ解消、頭が冴え集中力も上がるなどさまざまなメリットがあるためだといわれるが、本当に脳や体にいいのだろうか。著書に「老けない人は何を食べているのか」(青春出版社)などがある管理栄養士で抗加齢指導士の森由香子さんはこう語る。
「栄養士としてはお勧めしません。ナッツやヨーグルト、野菜ジュースなどある程度のエネルギー補給があるならまだしも、1回の食事以外一切食べないのは危険です」
その理由は、主に以下のような危険があるためだ。
・必要な栄養素が満たされないため、体の免疫力が下がり、病気への抵抗力も弱まる
・エネルギー不足で疲れやすく、やる気が出なくなる
・体が冷えやすくなる
・カルシウム不足による骨粗鬆症のリスク
・鉄不足で貧血や立ちくらみが起きる
「たんぱく質不足で爪が欠けたり抜け毛が増えたり、老けるのも早くなるのではないでしょうか。たとえ痩せてきれいに見えたとしても、将来的に体が心配です。実は骨が弱っていたり、動脈など見えないところに問題が隠れている場合も。食間が長いと血糖値が上がりやすいので糖尿病になる可能性もゼロではないです。内臓脂肪も溜まりやすくなり隠れメタボになっている可能性も。食事量が少ないため便秘にもなりやすいですね。
医師の管理のもとで行うダイエットなど、それぞれの体の健康状態や体重の状態によっては1食でいい場合も中にはあるとは思います。食べ過ぎたときなど、調整として1食にして、消化のよい食事で済ませるのは胃腸を休めることができていいと思いますが、日常的には勧められません」(森さん、以下「」内同)
断食には、アルツハイマー予防、うつ改善、免疫力と自然治癒力の向上によるがん細胞の抑制などの利点が研究で明らかになっているが、もちろんいい面ばかりでもない。
「確かに、脳内で糖分が足りずエネルギー不足になると、体は脂肪を分解してケトン体という代替エネルギーを利用し、それが脳細胞を保護するためアルツハイマーの予防になる、頭が冴えるなどと言われています。
がん細胞もブドウ糖を餌にして育つと言われていますから糖の摂取を減らす意味ではいいかもしれませんが、逆に1食では体を作るアミノ酸なども足りなくなります。食べ物でしか摂れない必須アミノ酸が9種類ありますが、1食でまとめて食べても吸収される量には限界があって、排出されてしまうのです」
最近では、西川貴教が現在、1日1食と3つのジム通いで体脂肪9%の完璧な肉体作りに励んでいると9月29日放送のバラエティ番組で明かしている。西川のように1日1食をダイエットに活用している人は少なくない。1日の摂取カロリーは減るため、ダイエット効果は表れるようだが、実際にはリバウンド体質を作っていると森さんはいう。