ビジネス

若者に留学勧めてもお金がないから難しいという現実について

 日本の大学生の「内向き」志向が取り沙汰される。新就活協定も、「留学推進」がひとつの目的だった。本当にだろうか。千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見陽平氏が解説する。

 * * *
 就活時期の件、また揺れています。現在の大学4年生、2016年度の新卒入社より就活時期が変更になり、採用広報活動が大学3年生の終盤の3月、選考活動が大学4年生の8月に変更になりました。しかし、企業側のフライングが横行した上、学生も疑心暗鬼になり混乱したのはご存知の通りです。混乱したこともあり、経団連の榊原会長は調査を進めるとともに、見直しも有り得ることを示唆しました。

 私はもともと、この件が確定した2013年4月から上手くいかない可能性が高いことを指摘しておりました。実際、そのとおりになりました。問題が起こったことに対して、早期に対応しようとする姿勢は評価できます、一般的には。

 しかし、この件に対してひっかかる部分があります。もともと、この就活時期繰り下げの大義名分は、「学ぶ機会の確保」と「留学の推進」だったはずです。今さら意地悪なことを言いますが、この件についてちゃんと害がないことを証明しないと、見直しをしてはいけないと思うのですよね。留学するために、海外に旅立ってしまった学生はどうするのでしょう。現状に問題意識を持つことはまったく否定しませんが、無責任だなとも思います。

 前置きが長くなりましたが、今回は留学について論じます。就活時期繰り下げの目的の一つだった「留学の推進」ですが、私に言わせるとこれは「無理ゲー」だったと思うのですよ。というのも、学生が留学しない原因は就活のせいではないためです。もっと言うならば、よく言われる内向き志向とも違うと思うのです。

 若者の留学を阻害する要因は何か? ずばり、お金の事情が大きいです。『家なき子』の安達祐実の名セリフ風に言うならば「同情するなら金をくれ」というわけです。

 全国大学生協協同組合連合会が2014年秋に調べた「第50回学生生活実態調査」のデータを参照してみます。「海外留学への意識」に関する回答をみると、大学入学後に留学経験が「ある」学生は9.1%にとどまります。入学後留学経験のない89.1%の内訳をみると、「在学中にしない」が66.3%となっています内訳は「留学したいができない」30.9%、「留学したいと思わない」35.4%となっています。

「留学したいと思わない」の理由は「留学に興味がない」20.8%が最も多く、「語学力に自信がない」13.7%、「経済的な理由」11.0%、「海外生活が不安」9.4%となっています。

関連記事

トピックス

公選法違反で逮捕された田淵容疑者(左)。右は女性スタッフ
「猫耳のカチューシャはマストで」「ガンガンバズらせようよ」選挙法違反で逮捕の医師らが女性スタッフの前でノリノリで行なっていた“奇行”の数々 「クリニックの前に警察がいる」と慌てふためいて…【半ケツビラ配り】
NEWSポストセブン
「ホワイトハウス表敬訪問」問題で悩まされる大谷翔平(写真/AFLO)
大谷翔平を悩ます、優勝チームの「ホワイトハウス表敬訪問」問題 トランプ氏と対面となれば辞退する同僚が続出か 外交問題に発展する最悪シナリオも
女性セブン
日本一奪還に必要な補強?それともかつての“欲しい欲しい病”の再発?(時事通信フォト)
《FA大型補強に向け札束攻勢》阿部・巨人の“FA欲しい欲しい病”再発を懸念するOBたち「若い芽を摘む」「ビジョンが見えない」
週刊ポスト
2025年にはデビュー40周年を控える磯野貴理子
《1円玉の小銭持ち歩く磯野貴理子》24歳年下元夫と暮らした「愛の巣」に今もこだわる理由、還暦直前に超高級マンションのローンを完済「いまは仕事もマイペースで幸せです」
NEWSポストセブン
ボランティア女性の服装について話した田淵氏(左、右は女性のXより引用)
《“半ケツビラ配り”で話題》「いればいるほど得だからね~」選挙運動員に時給1500円約束 公職選挙法で逮捕された医師らが若い女性スタッフに行なっていた“呆れた指導”
NEWSポストセブン
傷害致死容疑などで逮捕された川村葉音容疑者(20)、八木原亜麻容疑者(20)、(インスタグラムより)
【北海道大学生殺害】交際相手の女子大生を知る人物は「周りの人がいなかったらここまでなってない…」“みんなから尊敬されていた”被害者を悼む声
NEWSポストセブン
医療機関から出てくるNumber_iの平野紫耀と神宮寺勇太
《走り続けた再デビューの1年》Number_i、仕事の間隙を縫って3人揃って医療機関へメンテナンス 徹底した体調管理のもと大忙しの年末へ
女性セブン
チャンネル登録者数が200万人の人気YouTuber【素潜り漁師】マサル
《チャンネル登録者数200万人》YouTuber素潜り漁師マサル、暴行事件受けて知人女性とトラブル「実名と写真を公開」「反社とのつながりを喧伝」
NEWSポストセブン
白鵬(右)の引退試合にも登場した甥のムンフイデレ(時事通信フォト)
元横綱・白鵬の宮城野親方 弟子のいじめ問題での部屋閉鎖が長引き“期待の甥っ子”ら新弟子候補たちは入門できず宙ぶらりん状態
週刊ポスト
大谷(時事通信フォト)のシーズンを支え続けた真美子夫人(AFLO)
《真美子さんのサポートも》大谷翔平の新通訳候補に急浮上した“新たな日本人女性”の存在「子育て経験」「犬」「バスケ」の共通点
NEWSポストセブン
自身のInstagramで離婚を発表した菊川怜
《離婚で好感度ダウンは過去のこと》資産400億円実業家と離婚の菊川怜もバラエティーで脚光浴びるのは確実か ママタレが離婚後も活躍する条件は「経済力と学歴」 
NEWSポストセブン
被告人質問を受けた須藤被告
《タワマンに引越し、ハーレーダビッドソンを購入》須藤早貴被告が“7000万円の役員報酬”で送った浪費生活【紀州のドン・ファン公判】
NEWSポストセブン