北朝鮮による拉致問題や北方領土問題の解決前進といった外交サプライズの目途も立たず、「アベノミクス新・三本の矢」も、前回と比べてスケールが小さいことから経済政策にもやる気が見えない安倍晋三・首相にとって、目下、最大の関心事は後継者選びのようだ。
「総理は体調問題で一度は退陣を余儀なくされ、今も健康不安の影が消えない。安保法制という最大のヤマ場を乗り越えた今、自らが矢面に立って身を削るよりも後継者を育てて院政を敷きたい。
そうして影響力を持ったまま2020年の東京五輪を迎えたいという野望があるのだろう。総裁2期目は後継者づくりが最大の政治目標だと考えているのではないか」(自民党ベテラン議員)
首相周辺では、一時、党則で「連続で2期6年まで」と定められている総裁任期を「3期9年まで」に改正し、安倍首相の下で東京五輪を迎えるべきとの声が根強くあった。しかし、安倍首相が3期目を望んでいるようには思えない。
では、意中の後継者は誰か。安倍首相はこれまで、稲田朋美・政調会長を当選4回という浅いキャリアながら重要ポストに配し、“後継者”として育成していることが衆目の一致するところだった。それがここにきて、永田町では「次は谷垣禎一・幹事長で決まりだろう」(大手紙政治部記者)とする見方が出てきた。
「いくら安倍首相が可愛がっているとはいっても、政治キャリアの浅い稲田さんをいきなり次の総理にするのは行き過ぎでしょう。そこで谷垣さんをワンポイントで挟み、じっくり稲田さんを育てようという判断に傾いている」(同前)