マクロの視点で見ると、その狙いはより鮮明になってきます。これまで日本では国家から国民個人に所得移転が行なわれてきました。しかし、国家財政がいよいよ立ち行かなくなってきて、その構図を逆転させようとしています。マイナンバーという“とりっぱぐれをなくす”政策によって、国家は収入増、支出減に向かう一方、個人には収入減、支出増に向かわせることで、これまでとは逆に個人から国家に所得移転をしようとしているのです。

 国家財政の立て直しが急務である以上、その流れが今後ますます加速するのは間違いないでしょう。

 もはやあらゆる資産がガラス張りになるような時代が近づいています。どこかに逃がそうとしたり、隠したりしようとしてもムダな労力を使うだけです。小遣い稼ぎ程度だったサラリーマンの副業や投資も間違いなく捕捉されます。

 社会の仕組みが大きな転換点を迎えている以上、資産を減らさないようにするためには小手先だけの運用や節税は、もう通用しません。何か問題が生じてペナルティを科せられるような損をしないためにも、正しい知識を身につけて、公明正大な資産防衛を心がける必要があります。

 たとえば少しでも節税したいなら「ふるさと納税」をするとか、利用できるものはとことん利用する。正々堂々とやればいい。そんな心構えをいままで以上に持つことが求められています。

※マネーポスト2015年秋号

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