【テレビだけ高精細でも対応する番組が放送されなければ意味がない】
日本でいちばん視聴されている地上デジタル放送の番組が2K(フルハイビジョン)のままなので、4Kテレビを購入しても本格的な“映像美”を堪能しにくい環境であるのは事実だ。4Kの実用放送は「スカパーJSAT」など一部の有料チャンネルで始まったばかりで、年内もインターネットテレビやケーブルテレビ経由での放送しか決まっていない。
では今後、地デジの4K、8K放送は始まるのか。答えはNOだ。
「地デジのフルハイビジョンを4K、8Kにする計画はありません。放送行政を司る総務省の計画では、来年から新たにBSでの4K、それに8Kの試験放送を始め、2020年の東京オリンピックまでには4K、8Kとも広く普及させたい考えです。しかし、周波数帯域に空きがなく、専用チャンネルが増えたとしても、どこに割り振るのか全く不透明です。
まして、民放キー局は1台数千万円もする4K、8K対応カメラを揃えたり、制作コストを上げたりする余裕はなく、『画質がキレイな番組を作ったからといって広告収入が増えるとは限らない』と消極的な意見も多い。少なくとも今後10年は地上波で4K、8Kは見られないといっていいでしょう」(大手家電メーカー担当者)
【2020年の東京オリンピックは何のテレビで観るのがベストか】
いくら高画質テレビを購入しても、その良さを味わえる番組がないならば、わざわざ4K、8Kテレビに買い替えなくてもいいのではないか――。そう思っている人は多いだろう。テレビを開発するメーカー担当者ですら、「4Kならまだしも、8Kテレビは2020年段階でも一般家庭用は少なく、街中のパブリックビューイングでオリンピック競技を見るのが精一杯だろう」と予測している。