長らく「わいせつ図画」扱いされてきた春画だが、昨年まで大英博物館で開催された大規模展に続き、今年は日本初となる「春画展」が都内で開催されるなど、空前のブームといわれている。「春画展」には女性が大勢つめかけ、「春画女子」なる言葉まで生まれた。
ところがいま、その春画に、再び逆風が吹いている。カラーグラビアページで春画を掲載した『週刊文春』(10月8日号)について、発行元の文藝春秋が、「編集上の配慮を欠いた点があり、読者の皆様の信頼を裏切ることになった」として突如、「編集長の3か月休養」を発表したのだ。
同社の法務・広報部によると、「処分ではない。警察当局や読者からの指摘ではなく、あくまで社内判断です」とのこと。『週刊文春』は女性読者も多く、カラーページに局部の描写がそのまま掲載されていることが問題視されたようだ。
このことは、他誌に先駆けて何度となく春画を掲載してきた本誌『週刊ポスト』にとって、決して他人事ではない。
本誌は、〈確かな表現技術に基づいた「性愛芸術」こそ、日本が世界に誇る独自の文化なのだ〉(2014年8月15・22日号)という考えのもとにこれまで春画を誌面で紹介してきた。
最近では、春画展を開催した永青文庫理事長の細川護熙元首相の「アートを堂々と見られないのはおかしい」というコメントとともに、オールカラー43作品を袋入りの小冊子で掲載している。
しかし一方で、警視庁は春画を「わいせつ図画」だとみなし、本誌を含め春画を掲載した週刊誌数誌を呼び出し、“指導”を行なっている。本誌編集長もこの1年の間に2回、呼び出しを受けた。
その際「以前から10数回にわたり本誌は春画を掲載してきたが、このような呼び出しを受けたことはない。警視庁の中で方針の変更があったのか」と問うたが、明確な返答はなかった。