今年のドラフト会議が10月22日、行われる。ここ数年、社会人・大学生の即戦力を獲得する方針が強かった球団が、狙いを変えてくる可能性があるという。スポーツライターの加来慶祐さん今年のドラフトの傾向を分析する。
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過去5年間のドラフトを振り返ってみると、1位指名の重複によって交渉権がくじ引きとなったケースは23回を数えた。4球団以上が競合した選手は4人で、最多は2010年の大石達也(早大~西武)で6球団。続いて2013年の松井裕樹(桐光学園高~楽天)が5球団の競合を受け、2010年の斎藤佑樹(早大~日本ハム)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭高~阪神)の4球団と続く。こうして指名が競合する選手というのは、各球団が即戦力として評価している、その年のアマチュア最高レベルにある選手たちである。
1位指名はくじに外れての再競合もある。ちなみに今季打率3割以上、30本塁打以上、30盗塁以上のトリプルスリーを達成した山田哲人(ヤクルト)は、外れの外れ抽選でヤクルトが交渉権を獲得した“ドライチ”選手だった。
過去5年間における1位指名の競合23回のうち、最初の入札で競合したのは13回だ。内訳を見てみると、高校生が5回、大学生が7回、社会人が1回。“素材育成型”の高校生より、“即戦力・実戦派”の大学・社会人選手に人気が集まっていたことが理解していただけるだろう。
さらに、ここ3年間は大学・社会人からの1位指名選手が12球団中8選手を占めるという状態が続いている。このように、近年のドラフト戦線は将来性や育成強化を重視して高校生を獲得する球団よりも、すでにアマ球界で育成段階を経ている即戦力を獲得する傾向が強かった。高卒1年目で新人王を獲得した選手も、1999年の松坂大輔(当時西武)を最後に出現していないという事実も大きいか。
こうした大学・社会人優位のドラフトは続くのか? 果たして、高校生中心の“将来性ドラフト”へ移行していく可能性は、近未来も含めて残されているのだろうか?