国内3位のスカイマークが経営破綻し、実質的にANAの支配下に入った。これにより、かねてより日本の「制空権」を巡ってしのぎを削ってきたJALとANAの2強のパワーバランスに変化がもたらされた。スカイマークが持っていた「羽田発着枠」を36枠獲得したことで、ANAがJALの枠数を逆転してトップとなったのだ。1つの発着枠で年間20億~30億円の利益が出るとされている。
世界的な好景気による需要増で、両社は今年の第1四半期でともに過去最高益を記録。JALは2010年の経営破綻から完全に立ち直ったように見える。
今回、30代前半の大手紙経済部若手記者のA氏、同じく40代の大手経済紙記者B氏、40代の業界誌記者C氏、長く航空業界を取材してきた50代のベテラン経済ジャーナリストD氏の4人に集まってもらい、この両社の最新の力関係を分析してもらった。
A「最近、JALの上層部が永田町に再び足を運びだしたらしいですね」
C「経営破綻で中断した永田町との定例会合も復活したそうですしね。政界工作はJALの十八番だったけど、さすがに公的資金を受ける身では露骨な動きができなくなっていた」
D「そもそも自民党と蜜月だったJALは、2009年に民主党が政権を握ると素早く鞍替えして当時の前原誠司国交相に擦り寄り、公的資金の注入を受けた。長年の恋人に“浮気”された自民党としては憎さ百倍だよ」
B「それゆえ、政権復帰した自民党とJALの関係は希薄だった。一方のANAは将来を見据え、野党時代の自民党のなかでも安倍晋三、菅義偉、世耕弘成という現在の政権中枢にいるラインに接近して太いパイプを築いたといわれている。
この先見の明でANAは自民党の政権復帰後、JALを大きく上回る羽田国内線の発着枠を獲得し、“空の政権交代”が鮮明になった」