芸能

名作漫画『BARレモン・ハート』 BSでドラマ化を考えてみた

あの名作漫画がドラマ化

 10月からBSフジで名作漫画を原作にしたドラマが始まった。原作に思い入れが深いコラムニストのオバタカズユキ氏が推す。

 * * *
 BSなのだが、この10月からフジテレビでドラマ『BARレモン・ハート』(毎週月曜22時から)が放映中だ。マスター役の主演は中村梅雀で、店の常連でフリーライターの松ちゃん役には松尾諭を抜擢、もう一人の常連であるメガネさん役は刑事ドラマ『相棒』の伊丹憲一役でおなじみの川原和久が演じている。

 と書いただけで、「丸顔の梅雀に四角い顔のマスターはイメージ違いすぎだ。俺がキャスティングするなら伊東四朗、老けすぎと言うなら角野卓造、いや四角ければいいってもんじゃないが」とか、「イタミンはたしかに声は渋いが、謎めいたハードボイルド演じ切れるか? こういうときこそ西島秀俊が登場すべきではないか」など、議論に花が咲き始めるような気がする。

 ちなみに、この作品最強のボケ役にして、ネタ提供役でもあるライターの松ちゃんは、ドラマの中で口髭をはやしていない。これに関しては、「それ、ありないだろ。立派なお髭のくせにピュアで間抜けなのが松ちゃん。俺の中では小倉久寛に髭をつけたらピッタリなんだ。ちょっと歳が行き過ぎだけど、そのくらい独特な空気を持った役者じゃないとこなせない」という意見が、そう、私自身の中にあったりする。

 けれども、まあ、実際何話か見てみると、このドラマは頑張っている。短編のストーリーも、登場人物のキャラクターも、店内の空気も、原作に忠実であるべしと、みんなで丁寧に作品を作ろうとしている。現実にはありえない原作なのに、実写化してことごとく失敗に終わった『ブラック・ジャック』や『ゴルゴ13』のようなことにはなっていない(ゴルゴに関してだと、徹底的に台詞を減らして室伏広治が主演なら見てみたいとは思う)。

 えっ、『ブラック・ジャック』『ゴルゴ13』と並べられるぐらいすごいマンガなの? と、『BARレモン・ハート』の原作を知らない人は違和感を覚えるかもしれない。

 そうだ。私の中では何の疑問もなく並列関係なのである。むしろ今回のドラマ化に際して、「なんで地上波じゃなくて、BSなのだ。フジテレビもテレビ東京の『孤独のグルメ』を見習い、金と時間をこの名作に投じてみよ!」と軽く憤りを覚えるくらいだ。

 知らない人は知らないし、今の40歳未満だと知らない率がかなり高くなっているのだが、『BARレモン・ハート』は私がひいきにしているだけでなく、洋酒好きでこの漫画を知らなければモグリとさえいえるミリオンセラーにしてロングセラーの名作なのである。

 特に、現実のバーマン(バーテンダー)からの支持率が非常に高い。私は、何かのついでがあれば、周辺にあるバーを見つけて一人で呑むことをささやかな楽しみにしているのだけど、このマンガの話をバーマンに振って、反応がなかったことはまずない。連載開始から30年、特に初期から中期にかけての作品を貪り読んだというバーマンは本当に多い。「コンビニ販売用の廉価版で読みました」など、20代のバーマンにもファンが少なくない。

 なぜそんなに支持されているのか。マンガ『BARレモン・ハート』のウリは、原則、1回に1種類紹介される酒やカクテルに関するうんちくだ。クレジットはされていないが、多くの回で相当優秀な酒のプロが知識の提供をしているはずで、うんちく内容に関する信頼度は「間違いないですね」とたいていのバーマンたちが言う。

 それが証拠にというか、これまでに『BARレモン・ハート酒大事典』『BARレモン・ハート酒楽食楽』『BARレモン・ハートカクテル大事典 -BARレモン・ハートSPECIAL VERSION-』などの関連書籍も出版されていて、それぞれ洋酒やカクテル入門として実用性がある。

関連記事

トピックス

初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
ピーター・ナバロ大統領上級顧問の動向にも注目が集まる(Getty Images)
トランプ関税の理論的支柱・ナバロ上級顧問 「中国は不公正な貿易で世界の製造業を支配、その背後にはウォール街」という“シンプルな陰謀論”で支持を集める
週刊ポスト
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
石川県の被災地で「沈金」をご体験された佳子さま(2025年4月、石川県・輪島市。撮影/JMPA)
《インナーの胸元にはフリルで”甘さ”も》佳子さま、色味を抑えたシックなパンツスーツで石川県の被災地で「沈金」をご体験 
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン