計12年間監督を務め、リーグ優勝7回、3度の日本一に輝いた巨人の原辰徳監督が今季限りで退任した。2006年からの第二次政権は10年間続いたこともあり、「新陳代謝が必要」と述べた。“ジャイアンツ愛”を持つ原監督らしい、巨人を第一に考えた理由だった。今季はリーグ最低のチーム打率ながら、2位に踏み止まったことからもわかるように、原監督は効果的なタクトを振るってきたといえるだろう。
その名将・原監督の後任は、高橋由伸外野手兼打撃コーチとなった。結局、“万年候補”といわれ続けた球団OB・江川卓氏(60)の巨人監督就任はまたも流れたのだった。
19日の日刊スポーツによれば、江川氏は18日、報道陣に「(球団から)連絡は来ていません」と語りながらも、「新聞に書かれることも、ありがたいことですけど。もしそういうこと(球団からの連絡)があれば、ちゃんと対応します」と監督就任へ満更でもない様子が窺えていた。
YAHOO! JAPANの『巨人・原監督が退任。後任には誰がふさわしい?』という意識調査では、高橋由伸への監督要請が明らかになったにもかかわらず、22日の時点で江川卓氏がトップ。由伸とは3倍近い大差をつけていた。自他ともに監督の器として認めていた形だったといえよう。
江川氏は、過去の著作で“みずからの監督就任”について、どう語っていたのだろうか。引退から約1年経った1988年9月に発売された『たかが江川、されど江川』のエピローグで、こう綴っている。
〈将来、グラウンドにもどる気はないのか、と問われることがある。少なくとも現在、僕は、答える言葉を持っていない。それは、いつの日か、もしそのような声をかけていただくことがあれば、その時真剣に考えればよいことであろう。〉(同書より。以下〈〉内同)
監督への夢は言及していないが、〈話がきたら考える〉という姿勢は昔も今も変わらないようだ。