連日報道される、傾きマンションの問題。「うちのマンションは大丈夫?」「どうやってチェックしたらいいの?」など、注目が集まっている。住居は一生に一度の、大きな買い物。“安全かどうか、買う前に見極めたい”と思うのは当然のことだろう。
不良物件をつかまないための防衛術はあるのか。住宅ジャーナリストの山下和之さんにきいた。
「基本的に工事中に立ち入ることはできませんし、設計図などを見せてもらっても素人にはわからない。ましてや改ざんされたら、見抜けない。できるだけ安全なマンションを選ぶためには、まず場所選びです。基礎杭を気にされるのであれば、基礎杭が必要のない地域に住むことがひとつの対策です」
基礎杭とは、地盤の緩い土地に打つもの。「表層の地盤が緩い土地では、コンクリートの重い建造物を建てると傾いたりするので、固い岩盤のある支持層まで杭を打ち込み、その傾きを防ぐのです」と、山下さんは続ける。
「関東平野だと、東京では山手線の西側、新宿あたりが境目です。新宿から西側は武蔵野台地といわれて、地盤が固く、支持層が表層から10~20m程度。対して東側は地盤が緩く、東日本大震災でも、深刻な液状化が起こりました。これらの地域では支持層が地下50mくらいにあるので、そこまで杭を打ち込むことが建築基準法で定められています」
また、事前のチェックポイントとしては、工期もあげられる。10階建てのマンションを1年弱で完成させるなど、工事期間が極端に短いと、突貫工事でずさんな結果になることもあるというから、不安になったら販売元などに問い合わせるのもひとつの手段だ。
事前の見極めには「第三者の視点が必要」と語るのは、NPO建築Gメンの会・副理事長で一級建築士の川口晴保さんだ。
「不安なことがあれば、契約書の内容や設計図を建築士など、第三者に見てもらうことが大切です。しかし、マンションの場合はなかなか難しいのが現状です。欧米では第三者がしっかりと目を光らせるのですが、日本はまだまだそうした態勢が整っていない。建設後の内覧会などに、建築士など第三者の専門家に同席してもらい、亀裂やクロスのねじれ等をチェックしてもらうといいでしょう」