国際情報

日中問題で現代の政治家が学ぶべき田中角栄の「ケンカ外交」

日中国交正常化交渉から帰国した田中角栄氏 共同通信社

 安倍首相はこれまでのリーダーと比べ、中国に対して毅然とした姿勢を貫いている。しかし、習近平国家主席は、長きにわたる日本外交の軟弱さゆえに舐めきっているのか、横暴な態度を改めようとしない。

 その「軟弱外交」の原点が、田中角栄元首相の「日中国交正常化」にあるとの批判がある。だが、中国との国交正常化交渉の現場では、現代の政治家が学ぶべき田中の「ケンカ外交」が展開されていたことを忘れてはならない。

 拓殖大学海外事情研究所准教授の丹羽文生氏が解説する。

 * * *
 1972年7月5日の自民党総裁選挙で勝利して首班指名を受けた田中角栄は、外務大臣に大平正芳を指名し、外交政策の柱に日中国交正常化を据えた。先遣隊として中国入りした竹入義勝・公明党委員長は中国側から「日米安保堅持」「賠償請求権の放棄」など好条件を提示され(竹入メモ)、いよいよ田中は訪中を決意する。

 中国側が田中を相手に前向きになった背景には、中ソ対立があった。中国はソ連の軍事的脅威に対抗するため、米国、日本との関係改善を求めていた。

 1972年9月25日、田中らは羽田から日航特別機で旅立った。機内で外務省の随行員らに「もう君たちに任す」「手ぶらで帰るのもちっとも構わんよ」と田中は語ったという。困難が予想される日中交渉を前に、随行員らを鼓舞するための発言だったのだろう。

 第一回首脳会談の後、歓迎夕食会で事件は起きた。中国の周恩来首相に続いて演壇に上がった田中が、「中国国民に多大なご迷惑をおかけした」と述べると、会場がどよめいた。日本側は気にも留めなかったが、「ご迷惑」の使い方が日本と中国では異なり、言葉が軽すぎるとして、周恩来の逆鱗に触れたのだ。

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン