この「いいね」とハートマークの変更に限らず、最近のTwitterが打ち出す新サービスはおおむね評判がよくない。鳴り物入りで発表した新機能「Moments」はMLBのワールドシリーズTV中継でCMを放映するほどの力の入れようだったが、ナレーションもなく画面が細かく切り替わる映像に対し、理解不能と酷評された。しかしTwitterは、なんとかしてユーザーの増加率鈍化にブレーキをかけたいと必死で新たな動きを加速させている。
SNSの月間アクティブユーザー数(MAU)を比較すると、Facebookは15億5000万人、Google+が5億4000万人、Instagramが4億人超でTwitterは10月末発表で3億2000万人。Instagramが20%超の伸び率で、特に日本では一年前と比較して倍増させているのに対し、Twitterは前年同期比11%増、前期比0.1%とかつての勢いが見られない。しかも赤字続きで2015年7~9月期は1億3200万ドル(約160億円)の純損失を計上している。
7月から暫定CEOをつとめているジャック・ドーシーはTwitterの創業メンバーだったが経営から離れ、クレジットカード決済端末にするSquareというサービスを開始し軌道にのせてから再びTwitterに戻った実業家だ。彼は9月末に正式CEOに就任すると「僕らはTwitterを愛して使ってくれる人たちに、もっと使える機能を提供するよ」とツイートしているが、今のところあまり「使える」ものが多そうには見えない。
一方で、こんな声もある。米国でのサービス開始直後からTwitterを愛用してきた30代男性は、今後もTwitterサービスが継続するにはハートマークの導入は避けられなかっただろうと言う。
「学生のアカウントを見ると、ハートマークはおおむね好評なんですよ。気づけば、SNSを始めネットにハートのシンボルマークはあふれている。Instagram、Tumblr、VINE、MixChannelもハートをタップする。Facebookだって絵文字でハートを使えるし、Twitterだけ遅れていたのかも。友人とも話したのですが、ハートに特別な意味を感じる俺たちはもう、ネットでは年寄りなのかもしれない」
ともあれ、最近のTwitterの新サービスや仕様変更は、狙った効果を生み出すというより、ネット上でネタ扱いされ消費されるばかりだ。新CEOが宣言したような「使える」、かつての勢いあるTwitterが戻る日は来るのか。