高校ラグビー界で全く無名の弱小チームが、教師の熱血指導で、わずか数年で全国優勝を果たす、1980年代の学園ドラマの最高峰のひとつ『スクールウォーズ』(TBS系)。主演した山下真司(63才)に、当時のドラマの裏話などについて聞いた。
――『スクールウォーズ』時代に、一番印象に残っていることは?
山下:やはり、ラグビー部員全員を殴るシーンですね、泣きながら「今からお前たちを殴る!」と言って。あのシーンを撮るのに、朝8時から午後4時過ぎくらいまでかかったんです。「悔しくないのか!」って泣きながらのシーンを撮って、生徒の「悔しいです」というセリフ以降は、昼休みを挟んで食事の後だったんです。
生徒役の俳優たちが飯食いに行くというから、「飯食ってできるのかよ」と言ったら、「大丈夫じゃないっすか~」みたいな軽いノリで言われてね(笑い)。大切なシーンだから、飯食ってる場合じゃないだろう、でも確かに腹減ったなって。近くのファミレスに行って、若い俳優たちはいつもと変わらない表情でわいわいランチを食べてたんだけど、さすがにぼくは飯が喉を通らなかったですね。
――それだけ気合いが入っていたということですね?
山下:そうですね。だから、撮影を再開する直前に、彼らにもう一度、確認してみたんです。「できるのか!」って聞いたら「やってみなきゃ、わかんないっすよ」って。「それじゃだめだよ、実話なんだから。経験した人たちが見て、こんなんじゃなかったよって言われたら、お前ら恥ずかしくないのか!」「大丈夫だよ先生、心配しなくても」って会話があって、大丈夫かなこいつらと思って。…で、やったら、一発OK(笑い)。心配していたのは俺だけか、お前らやるなあって(笑い)。
――ドラマの時に、首にけがをしたそうですね。
山下:ドラマのオープニングで、タイトルバックでぼくがタックルするシーンがあるんですけど、それを撮影したときに首がボキッといってね。診察すると、首がちょっと歪んでるって言われたんです。
俳優は仕事でけがをすることってけっこうあるもの。『スクールウォーズ』の撮影が終わってからすぐの撮影でもけがをしました。休む暇もなく別のドラマで、吊り橋上で撮影をしていたら、『スクールウォーズ』で筋肉が疲れてたんだろうね、バチン!といきなり両足のふくらはぎが断裂して、2か月間歩けませんでした。33、4才の頃かな。
50才のときには毎日、3時間も眠れないくらいの撮影が続いていて、沖縄から山形に行ったんですね。温度が急に下がるじゃないですか。1日休みがあったので、自転車で市内観光をしたら、ふくらはぎがパンパンになっちゃったのね。次の日、軽く走っただけなのに足の筋肉が断裂しちゃって。滝に打たれるシーンが残っていたから、車椅子で現場に行って、滝壺まで抱えてもらって、ツルツル滑る足場に片足だけで立ちながら撮影しました。
――『スクールウォーズ』では体罰も辞さない教師役でしたが、体罰についてどう思いますか?