国内

がん死亡率、平均寿命ともにワースト1位青森県 県民の見解

 国立がん研究センターが9月に公表した「都道府県別がん死亡率」(2014年)が2つの県の明暗を分けた。長野県が19年連続でトップに輝く一方、青森県が11年連続でワースト1位となったのだ。

 がんの死亡率に限らない。平均寿命においても男女とも長野がトップ(男性80.88才、女性87.18才)で、青森がワースト(男性77.28才、女性85.34才)だ。両県とも寒暖の差が激しく、りんごの収穫量は青森1位・長野2位と肩を並べているのに「健康格差」がここまで広がるのはなぜだろう。長野県は県をあげて「減塩」に取り組んでいることで知られ、それが長寿に繋がっているとされている。

 東京駅から東北新幹線に乗り、3時間あまりで新青森駅に到着した瞬間、「寒い」と感じた。日差しはなく、鬱々とした空が広がり、「東京に帰りたい」と一瞬だけ思ってしまった。在来線に乗り換えて約5分で青森駅に到着。補修を重ねた跡が目立つ古びたホームや30年以上前に竣工された駅舎など、駅一帯に昭和の雰囲気が強く残っていた。

 青森を代表する農作物といえば、りんご「ふじ」だ。1964 年から現在まで粘り強く品種改良を重ね、出荷量、ブランド力ともトップに育て上げた。そんなところからも青森県民が研究熱心で努力家であることが想像できる。

 農作物ではほかに山芋、あんず、にんにくの出荷量が全国1位。いずれも栄養効果のある作物だ。

 しかし冒頭で述べたように、がん死亡率と平均寿命で青森県は全国ワースト。ほかにも健康につながるランキングが軒並み悪い。喫煙率(男性1位、女性2位)、飲酒率(男性1位、女性8位)、肥満者率(男性4位、女性2位)。スポーツする人の割合も男女とも全国ワーストだ。

 道行く人々に「青森は短命県ですが…」と恐る恐る尋ねると、誰もが「知ってますよ」とさらりと口にした。

「テレビのCMで“短命県返上”ってPRしてたので知ってます。私はとくに気にしてないけど、お父さんは“お酒控えなきゃ”ってつぶやいてはいながら、飲む量は変わりません」(高校3年生女子)

「そりゃ知ってるよ。県がけっこうPRしているからね。でも、健康診断に行かなきゃと毎年思いながら行ってない (苦笑)。なんだかんだ後回しになっちゃって」(57才男性商店主)

 青森県健康福祉部がん・生活病対策課の嶋谷嘉英課長は「非常に残念な結果です」と打ち明ける。

「ここ40年間、青森の健康数値は一貫して悪く、何とかしなければと思っています。喫煙、飲酒、食塩摂取量の多さに運動量や野菜摂取量の少なさなど、さまざまな生活習慣が重なった結果と考えています。

 がんになる人の割合は他県と変わらないのに、死亡者が多いのは発見される時期が遅いからです。症状が出てから受診するのでなく、早い段階で発見できるようがん検診の受診を推奨しています」

 短命の理由としてよく指摘されるのが塩分摂取量の多さだ。青森の家庭の食卓には「何にでもしょうゆをかける濃い味つけ」の料理が並ぶ。

「全般的に塩気が多い。私たちはそれが普通になってますが(苦笑)、県外の人はラーメンを食べてビックリされます」(前出・嶋谷課長)

 過剰な塩分摂取は高血圧につながり動脈硬化を招くほか、胃がんのもとにもなる。青森県では3年前から朝の出勤時間帯や土日のゴールデンタイムに、脳卒中の症状を伝え、早期の受診を呼びかける異例のCMを放送しているが、代々受け継がれた「お袋の味」を変えるのは難しそうだ。

関連記事

トピックス

女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト