見学に行ったら、どんなところに気をつければいいのか。チェックは、施設に行く前から始まっている。
「見分けるポイントのひとつは、地域に開かれていることです。近隣の住民やタクシーの運転手、近くの店舗などに聞いてみるのも一案です。“何をやっているのかよくわからない”という場合は地域になじんでいない可能性もあります。また、“職員の怒鳴り声が聞こえる”などの情報があれば、入所を再考したほうが良いかもしれません」(小山さん)
施設の見学では「におい・入居者の部屋・共有スペースの壁」に注目したい。
「においはとても大事で、施設の廊下など共有部分で排泄物のにおいがしたら衛生管理に問題があったり、居室のドアを開けたまま排泄介助をするなど、プライバシーが守られていない可能性もあります。また、最近は肺炎などの原因になるからと、口腔ケアを重要視しているのですが、入居者と話をしたときに口臭がするようならそれを怠っているかもしれません。共有スペースの壁に職員の顔写真などが飾ってあるか、苦情ボックスが設置してあるか、家族との懇親会が行われているかといった点は、施設が利用者や家族のことを考えているかどうか推察するポイントになります」(小山さん)
館内を見て回るときに、入居者の部屋の様子も見せてもらうと、そこにもチェックポイントがある。
「自分の持ってきた家具を継続して使える施設も多いのですが、お部屋を見ればそれが可能かどうかがわかります。たとえば、部屋の壁に好きな歌手のポスターが貼ってあるとか…介護が必要でも、その人らしさを失わずに過ごせるかどうかも大切なポイントです。以前見学させていただいた施設では、元ピアニストで認知症のかたが共有スペースでピアノを披露し、元農家の女性はホームの前にある菜園で農作業をしていました。これまでの人生を尊重したケアを行っている施設が理想的です」(小山さん)
※女性セブン2015年11月19日号