「血圧は120以下に下げろ」──米研究所の大規模調査を詳報した本誌・週刊ポスト前号が、中高年男性に衝撃を与えている。適正な血圧については「140以下」という説もあれば、「147以下」という説もあり、その基準が下がればその値の人々は「病人」扱いをされてしまう。さらには、降圧剤は一度飲み始めたら止められないというイメージが強いからこその、今回の衝撃だ。だが、本当に「120以下」に下げるべきなのだろうか。
「薬に頼りたくないので、減塩して運動して、なんとか最高血圧(収縮期血圧)を140に抑えていたのに、『140じゃダメだ、120未満にしろ』って、あんまりじゃないですか」
「医者や製薬会社が儲けるためのデッチ上げじゃないの?」
本誌前号で、米国立心肺血液研究所が9月に発表した血圧に関する最新の研究結果を報じたところ、読者からこんな怒りとも落胆とも取れる声が寄せられた。
実際に日本でも、短期間しか降圧剤を使わない治療法を実施しているクリニックは存在している。
生活指導を主体とした予防・治療を行なっている日本橋清洲クリニックでは、降圧剤を使う場合、6か月で中止している。同院の佐藤義之院長はいう。
「当院では、高血圧で来られた患者さんは、まず心肥大の有無を調べます。心肥大の人には当然、緊急避難で降圧剤を処方しますが、基本的に6か月で薬を切ることを伝えます。
なぜかというと、血圧は一番体重と連動していて、とにかく痩せれば血圧は下がるからで、6か月あれば痩せられるでしょう。高血圧は、はっきりいえば患者さん本人が悪いんです。患者さんには、『これはあなたが食べて飲んで出てきた数値だ』といっている」