京都競馬場の外回り2200mで争われるエリザベス女王杯。調教師・角居勝彦氏が運営する角居厩舎ではここ2年複数の出走があり、なかでもラキシスが活躍している(昨年1着、一昨年2着)。鮮やかに差し切る女王の秘話とは。キーワードは“格上挑戦”だった。数々の名馬を世に送り出した角居氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、色のついてない若駒を育てる難しさ、面白さについてお届けする。
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空気がパリッと乾いて清々しい季節。昨年のエリザベス女王杯も気持ちのいい晴天でした。ラキシスの差し切り勝ちは秋の陽射しのようにくっきりと印象に残っています。一昨年は雨。同じ鞍上(川田将雅騎手)で悔しい2着だったのでなおさらです。
ラキシスを見ていると、小学校の運動会を思い出します。2012年12月の新馬戦を2着に1馬身1/4差をつけて勝ち、明けた2月にオープンのすみれSで6着に負けた後は、4月にオークストライアルのフローラSを走らせました。1勝馬でしたが、あえて3戦目でGIIに挑んだ。角居厩舎ではこういう格上挑戦をよくやります。
能力のある馬が新馬戦で勝つと、競馬をナメることがある。楽に勝てるから遊んで走ってしまう。小学校の運動会では、足の速い子はいつも1等をとるものです。でも、それも小学校のうちだけで、成長するに従って差はなくなってくる。
浮かれた精神状態のときに、強いメンバーの中で走らせてやる。厳しいレースになるから「遊んでる場合じゃない!」と焦るわけです。逆に萎縮してしまう馬もいるので、気性やタイミングを見極めて判断します。