いまから狙うなら、まだ人気に火が付いていないモデルの方がいい。たとえば初代トヨタ・MR2(1984~1989年)などはどうか? これならアメリカ人は買い付けに来ていないし、状態のいい個体も見つけやすい。直線的なフォルムも、いかにも昭和風で青春の味がする。
数年前、この初代MR2を購入した知人のI氏によれば、どこに乗って行っても「うわ~、昔憧れたんだよ」「カッコいいね~」と声をかけられ、大人気だったそうだ。声の主は美女ではなく中高年男性ばかりというのはガックリだが、それでもちょっとしたアイドル気分が満喫できたという。私も試乗させてもらったが、いま乗っても走りはしっかりしていて、エアコンも効くし快適そのもの。何の不満もなかった。
I氏はこれを50万円で購入し、エンジンの整備などに50万円かけたが、1年後に同好の士に110万円で売れたので、出費はほとんどゼロに等しかったそうだ。
初代MR2は、現在も50万円くらいから手に入るが、ほとんどの個体が走行10万kmを超えているので、購入後はそれなりに整備費が必要だ。しかし、売る時は個人売買なら購入時より高く売れる可能性が高い。ムダ遣いのように見えて、国産ヤングクラシックは非常に堅実なのである。
※週刊ポスト2015年11月27日・12月4日号