プロ野球において年俸はその選手に対する評価であると同時に、期待度の表われでもある。莫大なカネを手にする選手は、金額に応じた活躍を見せなければ手厳しいブーイングに晒されても仕方がない。
では今季、最もコストパフォーマンスが悪かった選手は誰か。集計は『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)など野球関係の著書が多いライター・広尾晃氏に依頼した。投手部門を見てみよう。
「各投手、平等な指標で評価するために、アウト1つを取るのに年俸がいくらかかったかで計算しました。なお一度も試合出場のない選手については、一流選手の仲間入りの基準である年俸1億円以上に限定しています」(広尾氏。以下「」内同)
今年最悪の給料泥棒は、文句なしでソフトバンクの松坂大輔で決まりだ。
「年俸効率でいえば論外です。4億円もらっておいて一度も一軍登録がない。1球も投げていないのだからお話になりません。中日の岩瀬仁紀(3億円)、楽天のミコライオ(1億5000万円)も同様です」
少しでも投げた投手の中で最も高くついたのは、巨人・西村健太朗である。5月に二軍の試合で打球が顔面を直撃して10針縫うケガを負い、復帰した6月の試合で今度は脚に打球を受けるという不運が続いたとはいえ、1億3000万円で1年かけて3つしかアウトが取れなかった(1アウトあたり年俸4333.33万円)。
「巨人はとにかく費用対効果の悪い選手が多い。少し活躍すると大幅に年俸が上がる傾向があるためです。27位に顔を出している山口鉄也もそうですが、救援投手で高額の年俸だと効率は悪くなる。救援で頑張ったから年俸を上げるといっても、限度を決めたほうがよいのではないでしょうか」