やられたらやり返す──全日本大学駅伝(11月1日)で三冠を逃した直後から青山学院大学・原晋監督(48)の頭の中は、どうやって「復讐」を果たすかに切り替わっていることだろう。
東洋・駒澤による「青学潰し包囲網」との今シーズンの戦績は、出雲駅伝(10月)では青学大が勝ち、全日本は東洋大が制する“1勝1敗”の五分。その最終決戦となる箱根駅伝に向け、原監督は対外的にも、そしてチーム内に向けても“復讐の鬼”になっている。
その象徴のひとつが、青学大相模原キャンパスから徒歩数分の場所にある3階建てのアパートだ。玄関前にはランニングシューズがズラリと並び、ベランダには洗濯したばかりのトレーニングウエアが干されていた。ここは青学大陸上部の“2軍寮”だ。
青学大といえば、原監督と妻・美穂さんが東京・町田にある寮で選手と寝食を共にし、食事中も部員の恋愛相談に乗ったり、冗談を言い合ったりといった“アットホームな関係”が知られる。
昔気質な大学駅伝の世界にあって、従来の常識にとらわれない練習法や「ワクワク大作戦」「駒澤大の独走はダメよ~ダメダメ!作戦」といったメディア受けする発言から「明るくユニークな監督」と見られる原監督は、「新時代の指導者」として好意的に評価されてきた。だが、青学大関係者はこう声を潜める。
「そうしたイメージは一面的なもの。見えないところでは他大学以上に選手に対する厳しさがあるんです」