ワールドカップでの歴史的勝利や“五郎丸フィーバー”もあり、人気急上昇のラグビー。
国内では社会人リーグの最高峰「トップリーグ」が行われているが、11月13日からの開幕戦では、当日券を早々と完売させたにもかかわらず、バックスタンドがガラガラの試合が相次ぐなどしたため、日本ラグビー協会が観客動員数の見込み違いを謝罪する事態となった。
「企業頼みのアマチュアスポーツの実情をさらけ出してしまった。これまでラグビーはリーグ戦の入場料収入やテレビの放映権収入を運営費に充てていたが、認知度も低かったのでまったく賄えず、結局はクラブチームを抱える企業が赤字覚悟で負担してきた。
トップリーグのチケットも約4割を各企業がまとめて買い取り、社内で配ったり、取引先との接待で使ったりと長らく集客に苦戦してきた」(スポーツ紙記者)
トップリーグを構成する16の企業チームは、前出の五郎丸歩選手が所属するヤマハ発動機ジュビロほか、トヨタ自動車ヴェルブリッツやパナソニックワイルドナイツ、NTTドコモレッドハリケーン、サントリーサンゴリアス、神戸製鋼コベルコスティーラーズなど、みな錚々たる大企業の冠がついているため、一定の活動資金を得ることには困らなかったのかもしれない。
だが、これまでの状況では「企業に依存した体制には限界がある」との議論が出ていたのも確かだ。昨年、トップリーグの1試合平均の観客数は4700人足らず。全試合の集客目標45万人に対し、プレーオフを含む121試合の動員数は39万6421人だった。認知度や宣伝効果が上がらなければ、企業がチームを所有し続ける意義も薄れていくのは当然だ。
そんな苦境の中で沸き起こった空前のラグビーブーム。2019年には日本でW杯が開催されることもあり、人気の持続と代表選手のレベルアップに大きな期待が寄せられている。そこで、ひとつの案として持ち上がっているのが、「国内リーグのプロ化」だ。
日本代表の田中史朗選手も、〈企業に支えられてやっているのでは難しいとは思う。でも、どこかの企業が(プロ化したチームを)やってくれれば、ほかも続いていく可能性もある〉と発言している。