「女性は医療産業のターゲットになりやすいので、気をつけたほうがいいですよ」と語るのは、『先生、医者代減らすと寿命が延びるって本当ですか?』を上梓した、医師の近藤誠先生だ。
「女性は体の変化の波が大きい。生理による毎月の変動に妊娠、出産。閉経を迎えても、やれホルモン補充療法だ、骨粗鬆症だと常にゴールがなく、人生のさまざまな局面で商売の的にされやすい。だからこそ、本当に正しい健康知識で身を守ってほしいんです」(近藤先生、以下「」内同)
そんな近藤先生に、巷で信じられている健康法に関し、意見を聞いてみた。
“塩分控えめが体にいい”というイメージが定着しているが、近藤先生は否定する。
「昨年、17か国の約10万2000人を対象に塩分摂取量と死亡率の関係を調べたデータで、1日の塩分摂取量を「10g以下にすると寿命が短くなる」と判明しました。総死亡率がもっとも低かったのは、1日の塩分摂取量が10~15gの人たち。それに比べ、7.6g未満の人たちは27%増しという結果となっています」
日本高血圧学会は、1日の塩分摂取量6gの減塩生活を推奨している。塩分の摂りすぎが高血圧の原因となり、脳出血や脳梗塞、心疾患、慢性腎臓病を招くという理由からだ。しかし、近藤先生は「高血圧が脳出血の原因とする点がまず疑わしい」ときっぱり言う。
「その昔、東北地方の人々はしょっぱい漬物や干物をたくさん食べるために高血圧となり、脳出血になると考えられていましたが、実際には低栄養のため血管がもろくなって破れていたようです。