ライフ

浅草ホステルの外国人 自販機で記念撮影し満員電車を見学

鎌田さんと焼きそばカップ麺を楽しむ外国人観光客

 日本政府観光局の調査によると、今年日本を訪れる外国人観光客は推計で1631万6900人となり、過去最高を更新するという。たしかに街を歩いても外国人観光客を見掛けない日はないくらいだ。日本の魅力はなんなのか、受け入れる日本はこのままでいいのか。年間1万人以上の外国人観光客が宿泊する東京・浅草の「サクラホステル浅草」の鎌田智子支配人に聞いた。(取材・文=フリーライター・神田憲行)

 * * *
「ホステル」とは基本的に客はドミトリーという二段ベッドを入れた部屋をルームシェアする形式の宿泊施設のことをいう。だいたいはひと部屋で4人から8人が泊まる。プライバシーがあまりない代わりに料金が安く、世界中から来た客同士が仲良くなれることもあって、若いバックパッカーを中心に人気がある。

「サクラホステル浅草」の鎌田智子さんは開業以来10年ここで働いていて、今月、その体験を「体当たりおもてなし術」(講談社)という本にまとめて出版した。このホステルの外国人宿泊客は毎日平均して150人、国数も年間で110か国という。それだけ人種・宗教・年齢もばらばらなお客さんの日本観光をヘルプしているのだから、鎌田さんは異文化コミュニケーションの達人ともいえるだろう。

「最近の外国人観光客ブームは私も実感するところがあります。観光先の対応がこのホステルが出来た10年前ところっと変わってきました」

 と、鎌田さんはいう。

「昔はお客さんのためにレストランの予約をしようとしても、外国語のメニューがないとかカードが使えないとか、外国人お断りのお店が本当に多かった。今はほとんどの店がウエルカムですね。ホステルにも、外国人観光客対象のお店のチラシを置かせてくれという人が訪ねてくるようになりました」

 お客さんを国別でカウントすると、アメリカ、フランス、オーストラリアが3大トップだったが、最近は台湾、タイからのお客さんが食い込む勢いだとか。

「リピーターのお客さんも毎日1、2組は必ずいらっしゃいます。やはり私たちがずっとここにいるので、懐かしがって来てくださるんだと思います」

 このホステルの特徴は1階のロビーだ。テーブルとソファ、カウンター、共同キッチンが置かれていて、音楽を聴きながらネットサーフィンを楽しんでいる白人の女性や、本を読んでいるアジア系の女性がいた。のんびりしているのだが外とは違う時間が流れていて、昔自分が泊まったカンボジアのゲストハウスを想い出した。

「『爆買い』するお客さんはここでは見ないです。団体客が少ないのと、若い個人のお客さんが多いせいでしょう」

 ではなにを楽しみにしているのか。鎌田さんの本によると、ホステルが募集する「ミニツアー」で大人気なのが相撲見学だ。意外なところでは「満員電車」と「自動販売機」という。相撲はわかるが、満員電車!?

「日本に来る前にユーチューブで駅員さんがお客さんを押し込んでいる動画をよく見るらしく、通勤電車の『観光』を楽しみにしている人はいますねえ。体験ツアーは人の迷惑になるのでやらないですが(笑)。あと自動販売機はいつも記念撮影スポットです。毎日、ジュースを補充するために販売機を開けたときは人だかりができるくらい見てます」

関連キーワード

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト