昨年の競馬・ジャパンカップ。カクテル光線の中、エピファネイアの圧勝劇を覚えている諸賢も多いだろう。勝利の裏側には、騎手乗り替わりのドラマがあった。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、同氏が外国人騎手の凄さについて語る。
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「肥え馬、難無し」という諺があります。健康面ではそのとおりでしょうが、競馬の場合はそうとも限りません。
厳しい調教をこなし、シビアなレースを経て、競走馬は急成長します。「肥える=パワーがあがる」です。パワー漲る馬の走りに、騎手がついていけないケースも出てきます。
ジャパンカップのような強力なメンバーが揃うタフな競馬では、2400メートル、騎手の指示をきちんと聞けるかどうかが大事です。いいスタートを切って道中をじっと我慢し、仕掛けどころで素早く反応できるかどうか。
エピファネイアには“扱いにくい”印象がついて回りました。卓越したパワーを持てあまして“引っ掛かる”傾向が強い。だから騎手の力量が物を言う。祐一君(福永祐一騎手)は新馬戦から騎乗し(弥生賞のみ騎乗停止中のためビュイック騎手)、2013年の皐月賞2着、ダービー2着と健闘し、神戸新聞杯の勝利を経て菊花賞でGI初制覇と、エピファネイアの特徴を自家薬籠中の物にしてくれました。
しかし、祐一君はジャパンカップではジャスタウエイ(2着)に騎乗。大人の事情、などと世間では言うようですが(笑い)、競馬ではよく起こりえることです。