2000年代前半、格安タクシーは規制緩和ブームに乗って急成長したが、その後の規制強化で車両数が激減。運賃の下限を守らないと、車両の使用停止や事業許可の取り消しという重いペナルティが課されるようになったのだ。ところが、ここに来て画期的な判決が下された。大阪の格安タクシー会社「ワンコインドーム」が国による初乗り運賃の引き上げは「営業の自由の侵害」にあたると訴えた裁判だ。11月20日、大阪地裁は国の値上げ措置を「裁量権の逸脱・乱用」としてワンコインドームの主張を認めた。
大阪地裁の判決は再びタクシーの自由競争に道を開くものだが、今後のタクシー業界を待ち受けるのはさらなる「黒船」かもしれない。
格安タクシーに反対する国や業界の論拠のひとつは「運転手の待遇悪化」だった。完全歩合制の多いタクシー業界で車両数が増えて客単価が下がると結果としてドライバーの取り分が減るという言い分だ。
これに対し、「単価が下がっても顧客が増えれば、全体として取り分が増える」というのが格安タクシー側の主張だ。「格安支持派」の主張をさらに推し進めるかもしれないのが、米IT企業の配車サービス「Uber(ウーバー)」だ。
ウーバーは2009年に創業し、世界70を超える都市で配車サービスを行なう。利用者はスマートフォンでウーバーに登録。その際、個人情報とクレジットカードを登録しておけば、スマホのGPSを利用していつでも指定の場所に配車を頼める。支払いはカード決済で現金は必要ない。
現在、日本では六本木など東京都心部でのみ営業を行なう。ハイヤー型のウーバーブラックの場合、基本料金103円に時間料金が1分ごと67円、距離料金が1kmごとに308円加算され、初乗りの最低料金は823円となる。一般のタクシーより2~3割ほど割高だが、深夜だと割り増しのある一般タクシーより安くなるケースが多い。