良いことずくめの鍋料理だが、栄養的なメリットのほかに鍋をさらに美味しくしてくれる2つの裏技を本多さんに伝授してもらった。
「1つ目は水を豆乳に替えること。豆乳に代替するだけでクリーミーなコクが生まれます。植物性たんばく質とイソフラボンも無理なく摂れます。2つ目は仕上げにゼリー等の材料でもある粉ゼラチンを加えることです」
女子会メニューとして豆乳鍋が流行したこともあり、鍋に投入の組み合わせは食べた経験がある人も少なくないだろう。しかし、粉ゼラチンといえばゼリーやムースなどのお菓子作りでよく利用される材料だ。その粉ゼラチンが、なぜ鍋を美味しくしてくれるのか。予想外の組み合わせの理由を、本多さんはこう解説する。
「ゼラチンはコラーゲンを加水分解して消化吸収されやすくした、純粋なコラーゲンタンパク質から出来ている食品です。数年前に流行したコラーゲン鍋が1食10円代で簡単に作ることができます。
コラーゲンは、冷えると固まる性質があります。煮魚を冷蔵庫に入れておくと煮こごりのようになるのもこのためです。鍋に入れてもいつもの鍋と食感は同じです。食材の保水効果も期待できるので、ゼラチン一振りで旨味がとじこめられ、美味しくなります。
我が家の定番鍋はせんべい汁。青森のせんべい汁を自宅風にアレンジしたものです。焼きアジ節で前の日から出汁をとり多くの根菜類を煮た鍋に仕上げにゼラチンを振り入れています。この旨みたっぷり出汁は、0歳児の孫もお気に入りです。翌日は鍋に残った旨味たっぷりの煮こごりをあつあつご飯にかけて食べます」
今年の冬。鍋の味がイマイチ決まらないと思っている方はぜひ取り入れてほしい裏技だ。
■文/医療ジャーナリスト・市川純子