最低気温が10℃を下回ると紅葉前線が南下。この季節は、植物だけでなく人間も寒さ対策をはじめます。コートを着て、こたつを出し、温かいものを食べたくなるのもこの季節。友人や家族と鍋を囲むもよし。近年流行りのひとり鍋をするのもよし。鍋は温まる以外に栄養面でもメリットが大きい。NHKの「きょうの料理」や「あさイチ」などでもおなじみの医学博士でもあり管理栄養士の本多京子さんに鍋料理の栄養的なメリットを聞いてみた。
「鍋には4つのメリットがあります。1つ目はカロリーカットです。食材を炒めたり揚げたりしないので余分な油を使わずに肉や魚介類などの動物性たんぱく質を無理なく摂ることができます。
2つ目は野菜がたくさん食べられることです。煮るとカサが減るのでサラダなどで食べるよりも多くの野菜を摂ることができます。また、汁に溶け出た水溶性のビタミンもシメの雑炊などでしっかり摂れます。きのこを加えて旨味をプラスしてもカロリー控えめになり、食物繊維摂取量も増えるので”菌活”にもつながります」
“菌活”とは、体に良い働きをする菌を味噌や納豆、ヨーグルトやきのこなどから積極的に取り入れ、健康や美容に生かすこと。就業前に少し早起きして趣味や勉強をする朝活のように、女性の人気を集めている。この菌活や低カロリーであること以外にも、まだまだ鍋には栄養的な魅力があると本多さんは続けた。
「3つ目は大豆食品を無理なく摂れることです。豆腐や油揚げなどの大豆食品を加えれば手軽に良質な植物性たんぱく質が摂取できます。大豆製品には女性に必要なイソフラボンが含まれています。4つ目は減塩です。出汁をとり、そのなかに食材を入れるので旨味が溶け出し、うす塩でもおいしく食べられます。塩分を摂り過ぎると血圧や血管に影響を与えるだけでなくむくみなどの原因にもなります」