国内

村上世彰氏関連企業に強制捜査 他を牽制する見せしめの疑い

C&Iホールディングスのホームページ

 12月某日、寒風吹く東京・六本木ヒルズに、白髪頭にハンチング帽を目深に被った小柄な男の姿があった。秘書とボディガードらしき2人の男に挟まれ、周囲を気にしながら足早に歩くこの人物こそ、旧村上ファンドを率いた村上世彰氏(56)だった。

 その数日前には、関連企業が証券取引等監視委員会(SESC)の強制調査を受けたばかり。9年前に世間を賑わせた、ニッポン放送株をめぐるインサイダー取引容疑で東京地検特捜部による強制捜査の舞台となった六本木ヒルズを歩きながら、再び「時の人」となった彼は何を思うのか──。

 11月25日、SESCは村上氏の長女・絢氏(27)が代表を務める「C&Iホールディングス」(東京都港区)に強制調査に入った。スーツ姿の男らが青山通りに面する10階建てビルから大量の段ボール箱を運び出し、ワゴン車に積み込む様子が一斉に報じられた。

 かつて「モノ言う株主(アクティビスト)」として脚光を浴び、その後証券取引法違反で有罪判決を受けた村上氏は、シンガポールに移住して投資の世界から身を引いていたが、逮捕から9年目となる今年に入って本格的に株式市場に再登場した。

 愛娘の絢氏らとともに9年分の空白を取り戻すかのように大量の株を買い進め、今年6月には電子部品商社「黒田電気」に対し、C&Iホールディングスが村上氏ら4人を社外取締役に選任するよう株主提案をするなど、アクティビストとして再び注目を集めていた。

 そんな最中の突然の強制調査が市場に与えた衝撃は大きく、村上氏らが保有する企業の株は乱高下を続けている。

 今回、村上氏にかけられた容疑は金融商品取引法違反(相場操縦)。具体的には2014年6月から7月にかけて東証一部上場のアパレル大手「TSIホールディングス」(東京都港区)の株価を意図的に下げた疑いだ。

 村上氏らは大量の売り注文を出し、他の投資家に「株価が急落している」と誤解させて売り注文を誘う「売り崩し」や、15時に閉まる株式市場の取引終了間際に大量の売り注文を成立させる「終値関与」を行なったとされる。終値は時間外取引を行なう投資家の指標になるため、「こんなに下がって終わったのか」という印象を与え、「売り崩し」と同様、売り注文を誘う効果がある。

 こうして株価を引き下げる一方、村上氏は証券会社から借りた株を売り、後で買い戻して返却する「空売り」で数千万円に上る利益を得ていた──というのがSESCの見立てだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン